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受胎前から改善取り組みを 習慣、急には変えられず 妊産婦の食生活指針改定

2021.7.6 0:00
 国が推奨する「妊産婦のための食生活指針」が2006年の初版以来15年ぶりに改定された。改定のポイントは「妊娠前からの取り組み」。表題にも「妊娠前からはじめる~」と頭書きが加わった。専門家は「妊娠の可能性がある人は、受胎前から改善に取り組んでほしい」と呼び掛けている。
 ▽痩せが大幅増
 国立健康・栄養研究所の滝本秀美栄養疫学・食育研究部長によると、妊娠前に焦点が当たったのは「日本の女性で低体重(痩せ)の割合が大きい」ことと「受胎から千日間の栄養状態が、将来の健康に大きく影響することが定説になった」ためだ。
 滝本さんによると、女性の平均体格指数(BMI)中の痩せの割合は1973年、20代で15・1%、30代で7・2%だったのが、2017年にはそれぞれ21・7%、13・4%と大幅に増えた。

 
 

 痩せや体重減少は排卵障害(月経不順)の原因の一つ。女性ホルモン分泌の低下や閉経年齢の低下、骨粗しょう症のリスクがある。早産や低出生体重児の割合も高いと報告されている。

 「健康で痩せている人もいるが、経済低迷で生活が厳しく、栄養摂取が不十分な恐れもある。日本では依然、痩せ指向も強い」と懸念する。
 
 ▽10項目
 指針が勧めるのは食事の総エネルギー、ビタミン・ミネラル、タンパク質、カルシウムなど、大きく10項目。滝本さんは食生活に関して「バランス良くしっかり食べることが基本」とまとめる。
 若い世代では運動不足も顕著だ。
 17年国民健康・栄養調査によると、1回30分以上の運動を週2回以上、1年以上継続している人は女性全体で29%。年齢別にこうした運動習慣のある人の割合は20~40代で2割を下回り、高齢ほど割合が高かった。食生活指針の中には「無理なく体を動かす」の1項目が、たばこ・酒の害などとともに加えられた。
 滝本さんが強調したのは「習慣はすぐには変わらない」という点だ。朝食を食べない人が急に毎朝ちゃんと調理するのは簡単ではないからだ。
 「いきなり完璧にしようとせず、朝食にバナナ1本、牛乳1杯を用意するなど、できるところから始めて」。一方で、子どもだけでなく母親の将来のためにも、妊娠前からきちんとした食生活を心掛けてほしいと話す。
 ▽体重増の目安
 妊娠後、出産までにどのぐらい体重が増えるのが適切か。改定指針にはその目安も盛り込んだ。
 板倉敦夫順天堂大教授ら日本産科婦人科学会の研究チームは、周産期の女性のデータベースから15~17年の3年分、40万人以上を分析。妊娠時の体格と体重変化が「早産」「低出生体重児」「巨大児」などにどう影響するかを調べた。
 
 

 

 その結果、指針では、適切な増加の目安として、妊娠前に低体重(痩せ)なら12~15キログラム、普通の体格なら10~13キログラム、BMI30未満の肥満1度なら7~10キログラム。BMI30以上の肥満2度以上では「5キログラムまでで個別に指導する」ことが推奨された。
 ただ板倉さんは「この数字の根拠と意味を理解できる医師向けのもので、しかも、あくまで目安です」と注意を促す。
 体重増の影響は個人差が大きく、数値を外れたからといって直ちにリスクが高まるものではないという。また、例えば痩せている女性が妊娠したからといってそこから12キログラム太るのは容易でない。
 板倉さんは「妊娠中の女性は、胎児を気遣ってただでさえ頑張り過ぎる傾向がある。厳格を求めると強いストレスがかかるので、どのような食生活を目指すべきかは、医師とよく相談して指導を受けてほしい」とアドバイスしている。(共同=由藤庸二郎)

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