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医療新世紀

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のみ込み機能の検査推奨 高齢でも食べる楽しみを 鼻からの内視鏡も有効

2022.8.9 0:00
 年を取っても食事をきちんと取ることは、体力維持だけでなく、食事を楽しむという生活の質を保つためにも重要だ。一方で、のみ込み機能が悪いと、何よりも食が進まず、むせたり詰まったりすれば誤嚥(ごえん)性肺炎や窒息につながる恐れがある。専門家は、高齢者の安全な食事のためには、のみ込み機能の衰えを感じたらきちんと検査を受けて、栄養摂取の方法や飲食物を適切に選ぶことが大切だと指摘している。
 
 

 

 ▽簡便に検査、評価
 嚥下(えんげ)機能検査では、患者に実際にのみ込んでもらった食べ物の動きをエックス線で撮影する方法があったが、検査が大がかりになる難点があった。簡便な検査が普及したのは、耳鼻咽喉科で内視鏡を使った検査が始まってから。エックス線検査に匹敵する情報が得られることが分かり、今は診療ガイドラインでも必須の検査として推奨されている。
 前日本嚥下医学会理事長の兵頭政光高知大教授(耳鼻咽喉科)は2010年、内視鏡検査の観察結果を評価する「スコア(評価法)」を開発。医師や言語聴覚士なら誰でもほぼ正確に評価できることを確かめた。「兵頭スコア」と呼ばれる。
 スコアでは主に「のみ込みきれない唾液のたまり方」「気管が閉じる反射、せき込む反射」「ごっくんとのみ込む動きのタイミング」「のみ込み後に飲食物が喉に残るか」の4点を観察、評価する。点数が高いほど機能障害が重く、個々の部位の機能や障害の原因にもよるが、おおむね3~4点程度までなら口から食べ続けられるとされる。
 9~10点を上回れば経口摂取は難しいと判断し、経管栄養や胃ろうの導入を検討する。その中間の5~8点では、安全な食べ方の指導やのみ込み機能・反射を高めるリハビリテーション、食べ物の軟らかさやとろみの調整などにより、食べることを一定程度楽しむことが可能だ。
 ▽多くの診療科で
 一方、別の診療科からのアプローチも登場した。消化器内科医である昭和伊南総合病院(長野県)の堀内朗消化器病センター長は、現在多くの医療機関で用いられるようになっている消化管用の「経鼻内視鏡」による観察の有効性を明らかにし、論文発表した。
嚥下機能検査に使う「経鼻内視鏡」を持つ、昭和伊南総合病院の堀内朗消化器病センター長=長野県駒ケ根市の同病院
嚥下機能検査に使う「経鼻内視鏡」を持つ、昭和伊南総合病院の堀内朗消化器病センター長=長野県駒ケ根市の同病院

 

 消化管用の経鼻内視鏡とは、最近は人間ドックなどでも多用されるようになったいわゆる「鼻からの胃カメラ」だ。
 耳鼻科でよく使うファイバースコープ型内視鏡と違い、送水や吸引ができるため、喉にたまった泡や唾液を取り除いて鮮明に観察できる。高度の機能障害の診断に特に有効だという。経鼻内視鏡は多くの医師が取り扱うため「検査の受け皿が広がり、多くの患者が検査を受けられる」(堀内さん)利点もある。
 ▽チーム医療
 堀内さんは、水の代わりに誤嚥の少ない水ゼリーを使って兵頭スコアを改良。この方法を研修会などで多くの医師に紹介するなど、普及に懸命だ。「医師のほか言語聴覚士、管理栄養士、歯科などと協力したチーム医療が欠かせない」として、患者の食べる機能に携わる多くの医療職の関与を訴えた。
 では、高齢者はどんな状態になったら検査を受けたらいいのか。兵頭さんは「1回の食事中に何度もむせる」「食事を食べきるのに時間がかかるようになった」「普段、のどに物がたまっている感じがする」の3点を例示。症状に気付いたら、かかりつけ医に相談するか、専門家の診察を受けることを勧める。
 専門家のいる医療機関は、日本嚥下医学会のウェブサイトからは「嚥下相談医等一覧」で、日本摂食嚥下リハビリテーション学会のウェブサイトでは「嚥下リハビリ相談窓口」で検索できる。(共同=由藤庸二郎)

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