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入院中の子どもを支える 多職種連携で取り組み 病棟に遊びの空間も

2017.11.28 0:49
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 がんなどで入院した子どもは、幼稚園や学校に行けず病棟で長い時間を過ごす。療養中の生活や学びをどう支えるか。医療現場では、医師、看護師のほかに保育士、臨床心理士ら多くの職種が連携した取り組みが始まっている。国立国際医療研究センター(東京)の小児科病棟を取材した。

 ▽不安を乗り越える

 小児科診療科長の七野浩之医師によると、病棟では感染症などの短期入院もあるが、小児がんや白血病などで数カ月から半年、長いと数年入院する例が珍しくない。

 「以前は、まずは命の問題、安静が一番という考えが主流だったが、治療が進歩して家へ戻る子が増え、不登校や人付き合いの難しさの問題が浮上した」と七野さんは指摘する。こうした状況に、まず親の会が、次いで、成長した患者たち自身が医療とは別に生活の支援を求める声を上げ始めたという。

 現在は、保育士の常駐やプレイルームの整備、遊具、おもちゃなどを備えることなどで診療報酬が加算される仕組みもあり、全国で療養中の子どもの生活を支援する活動が広がり始めている。

 11月10日、同病棟に「わくわくの森」と名付けられたプレイルームがお披露目された。窓に囲まれた明るい64平方メートルの円形フロア。この日は入院、通院している子どもたち約10人が集まった。

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 ▽支援の専門職

 子どもと一緒に遊ぶ斎藤美姫さんは、「認定チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)」だ。認定CLSは、1970年代以降に欧米で発展してきた、子どもを心理的に支援する専門職の一つ。入院中の子どもが治療や検査への恐怖心や不安感を乗り越えられるようにするのが仕事だ。

 子どもと一緒に人形を使ったお医者さんごっこで遊び、おもちゃの聴診器や注射器を使って治療や検査を疑似体験させる。おもちゃの注射器を人形に何度も刺すしぐさをする子もいる。「無理やりされることへの怒りや恐れの表れ」だという。「どうしたら治療や検査を受け入れる気持ちになるか。怖くてもいいんだよと伝える。子どももやらなきゃいけないと分かっています」と話す。

 保育士の渡辺麻野子さんは、主に生活の場で必要なあれこれを教え、成長、発達を促す。家を離れると学べないことも多い。ご飯を食べる、トイレを使う、身なりを整える...。渡辺さんは、手を取ったり、自らやってみせたりしてできるように導いていく。

 「好きなこと、興味のあることに気付いてあげることも大事」と渡辺さん。言葉を知りたい、絵を描きたいという意欲をくみ取る。できた、分かったという喜びが大きな成長につながる。「"かわいそうな病気の子"ではなく、病気ではあっても一人の子どもとして接したい」と話した。

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 ▽安心できる存在

 病棟ではこれらの専門職員と看護師、臨床心理士も加わって、子どもの治療、検査の予定や体調などの情報を日々、共有する。医療用語をどうかみ砕き、どこまで伝えるかについても共通認識を持つ。「多職種で関われば、隠れた不安や悩みを知る突破口ができる」(渡辺さん)という。

 同センター小児科の田中瑞恵医師は「子どもと遊んだり、ご飯を食べさせたりする人手が足りず、医師も仕事の合間に手伝ったりしたが、寄り添える人がいればいいなと思っていた」という。

 医師は治療にせよ検査にせよ、子どもにつらい、痛いことをする立場。一定の距離感も必要だ。「痛いことを絶対にしない、安心できる人の存在が逃げ場になり、治療に前向きにもなれるはず」と生活支援の大切さを感じている。

(共同通信 由藤庸二郎)

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