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医療新世紀

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尿検査での早期発見に道 腎盂・尿管がんで新知見 遺伝子変異の型で5分類

2021.9.28 0:00

 腎臓とぼうこうの間、尿の通り道にできる尿路上皮がんのうち、腎盂(じんう)がん、尿管がんは、発見や確定診断が難しい。京都大、東京大などの研究チームは、腎盂・尿管がんの腫瘍組織の解析から遺伝子変異のパターンを突き止め、尿に含まれる物質からそれを検出することに成功したと発表した。従来より体への負担が少ない尿検査によって簡便にこれらのがんを見つけることに道を開き、早期治療に結びつけられる成果だとしている。

 
 

 ▽検査の難しさ
 腎盂がんや尿管がんは、ぼうこうより上流側にできるため上部尿路上皮がんと総称される。尿路上皮がんの中でも5~10%と比較的少ないがんだという。
 久米春喜東京大教授(泌尿器科)によると、尿道からの内視鏡で比較的容易に到達できるぼうこうのがんと異なり、腎盂・尿管がんの確定診断が難しい。超音波検査やコンピューター断層撮影(CT)、尿中のがん細胞の検出などを用いるが、がんの部位や大きさの問題で写りにくいことがある。
 このため、確定診断のためには追加の検査としてぼうこうから尿管の奥までカテーテルを入れ、造影検査や検体・尿の採取などをする必要がある。ただ、この検査は痛みを伴うため、通常は入院して麻酔を施す必要がある。がんの発見までに時間がかかったり、発見時には進行していたりするケースも多いという。
 ▽ぼうこうとの違い
 研究チームは、腎盂・尿管がんの手術で摘出された199例の検体に含まれる遺伝子変異の特徴を網羅的に解析した。東京大泌尿器科が、東大病院や都内の病院で手術をして取り出された組織や血液、尿など20年近くにわたって保管していた検体が生かされた。
 解析の結果、腎盂・尿管がんの遺伝子変異の型はおおむね五つに大別され、ぼうこうがんとは特徴が違うことが突き止められた。久米さんはこの結果について「腎盂と尿管も尿路上皮細胞というぼうこうと同じ性質の細胞からできているので、ぼうこうがんと同様の変異が見つかると考えていたが、実際は違っていた」と驚きを隠さない。
 遺伝子解析に当たった小川誠司京都大教授(分子病理学)によると、五つの変異型で違いをさらに詳しく調べた結果、がんの悪性度には差が見られ、またがんの部位によって、腎盂がんに多い変異型、尿管がんに多い変異型などの特徴が明らかになった。

研究を見守る小川誠司教授(左)=2018年、京都市左京区の京都大(小川教授提供)
研究を見守る小川誠司教授(左)=2018年、京都市左京区の京都大(小川教授提供)

 

 グループの間で手術後の患者の病状を比べると、3種類の遺伝子変異の型と、それ以外の型の間では生存率にはっきりした差があった。このほか「著しく遺伝子変異が多い」と判明した患者では亡くなった人はいなかったことも判明。遺伝子変異の型によって、がんのタイプに違いがある可能性が高いという。
 ▽必ず普及する
 研究グループはさらに、手術の直前に採取されていた患者の尿に残っていた物質で、これらの遺伝子変異を検索。すると、患者の82%では、がんそのものと同一の遺伝子変異が見つかった。尿路のうちどこにあるかはともかく「がんがある」ことは尿だけで分かる可能性がある。
 小川さんは「尿中の細胞を見るなどの従来の検査法より、検査時間、患者の体への負担、必要なコストといったさまざまな面で利点がある。将来は簡便な検査法として必ず普及する」と話す。
 久米さんも「こうしたデータを積み重ねることで、病気の進行や転移の予測、適切な薬剤の選択などにつながる」と期待を込めた。(共同=由藤庸二郎)

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