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医療新世紀

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「スイス菌」の培養に成功 ヒトから初、病原性も証明

2021.8.3 0:00
 胃潰瘍や胃がんの原因となる「ヘリコバクター・ピロリ」(ピロリ菌)とよく似た、豚や猿を宿主とする「ヘリコバクター・スイス(スイス菌)」について、国立感染症研究所と北里大、杏林大などの共同研究グループが、初めてヒトからの採取、培養に成功し、動物実験で病原性を確かめたと発表した。
 人獣共通感染症の原因菌である可能性が高いことが示されたとしている。
ヘリコバクター・スイスの電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)
ヘリコバクター・スイスの電子顕微鏡写真(国立感染症研究所提供)

 研究グループの林原絵美子感染研細菌第2部主任研究官によると「ヘリコバクター」は、ピロリ菌と同じらせん状の構造を指し、「スイス」は「豚の」を意味する。

 自然宿主である豚の6~9割で見つかり、長期的には豚で潰瘍や胃炎を起こし、体重増の妨げとなり得ることが分かっている。ヒトからも菌自体は検出されていたが、培養できた例はなく、ヒトでの病原性も明らかではなかった。
 研究チームは、胃に病気のある3人から同意を得て、胃の粘膜組織の一部を採取。この菌の生存に適した弱酸性の環境を保ったままで輸送して同じ条件下で培養する工夫を施したところ、菌を培養することに初めて成功した。
 増やした菌をマウスの胃に移すと胃に病変ができ、患部から同じ菌が検出されたことで、病気の原因菌であることも証明されたという。
 林原さんは「ピロリ菌を除菌した後にスイス菌が見つかったとの報告もある。今後は人での保菌率や病気を起こすメカニズムを明らかにする必要がある」と指摘する。
 既に日本ヘリコバクター学会に設けられた研究部会により、日本人での感染実態調査の準備が進められているという。

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