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医療新世紀

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不足する感染管理の看護師 日看協、3年で千人増へ 地域、病院規模で偏り

2021.2.16 0:00
 新型コロナウイルス感染症の流行で、医療現場は感染防止にかつてない対応を迫られている。中でも、一定の研修を経て専門性を身に付けた「感染管理認定看護師」は多忙を極めたが、この資格者は地域や病院の規模による偏りが大きく、人員不足が深刻化している。日本看護協会(日看協)は2021年から3年で現在の約3千人から千人増やす計画を打ち出した。
感染拡大を防ぐため手袋を装着する雪田智子さん=兵庫県宝塚市の宝塚第一病院(同病院提供)
感染拡大を防ぐため手袋を装着する雪田智子さん=兵庫県宝塚市の宝塚第一病院(同病院提供)

 ▽もう来たのか

 兵庫県宝塚市の宝塚第一病院で院内感染が起きたのは昨年3月。患者が入院前にいた高齢者施設から「病状はどうですか」と電話があり、感染制御チームの一員で感染管理認定看護師の雪田智子さんが異変に気付いた。その高齢者施設ではクラスターが発生していた。
 患者の肺のエックス線写真にあった影は、新型コロナの特徴ではなかったか。同月1日に兵庫県で初の感染者が見つかったばかり。「もう来たのか」と感じた。
 すぐに緊急対策会議を開催し、濃厚接触者の特定とPCR検査が始まった。濃厚接触者は患者がいた病棟の看護職36人中30人。病院全体では49人が自宅待機になった。
 同室患者は個室に隔離し、入退院を制限した。院内の消毒や個人防護具の安全な着脱など基本的な感染防御策の徹底を図った。PCR検査は清掃やリネン交換の職員、業者も含めて約500人に及んだ。
 
宝塚第一病院の発熱外来で、PCR検査の準備をする医師(左)と看護師=1月、兵庫県宝塚市(同病院提供)
宝塚第一病院の発熱外来で、PCR検査の準備をする医師(左)と看護師=1月、兵庫県宝塚市(同病院提供)

 ▽病院内外で活動

 迅速に動けたのは「新型インフルエンザを想定した準備が役立った」と雪田さんは言う。院内では平時から標準的な予防策が徹底していた。病棟や外来などで感染管理を担当する看護職「リンクナース」を育成し、院内の連携、協力態勢を築いていたことも奏功した。それでも患者5人と医師ら3人が感染し、通常診療再開には1カ月近くかかった。院内感染の診療への影響は大きかった。
 感染管理認定看護師の仕事は元々、所属する医療機関や地域の実情に応じて多岐にわたる。
 日本感染管理ネットワークが19年、会員である感染管理認定看護師に聞いた調査では、院内の定期的な巡回による問題点の抽出と改善、院内感染発生時の対応、他の職員の指導や相談への対応のほか、時には空調や水、食事の施設管理に携わることも。多くが自施設以外の医療機関で活動したり、高齢者などの介護施設に赴いて指導・相談に当たったりしていた。
 ▽100万円助成
 問題は、コロナ対応でも明らかな絶対的な人員不足だ。00年に養成が始まって20年末時点で認定は2977人。ただ、都市と地方の格差は大きい。東京304人、大阪184人などに対して、地方の県ではほとんどが10~40人台だ。
 中小病院への配置も課題。19年のまとめでは、全国に約8300ある医療機関のうち、認定看護師がいるのは21%の約1800。500床以上の大病院では87%に在籍する一方、100~199床で13%、99床以下では3%にすぎない。600時間以上の研修に看護師を送り出す施設側の負担も大きい。
 状況を改善しようと日看協は、手始めに21年度、受講費用の補助として1施設1人100万円を計50施設に助成することを決めた。対象は、現在認定看護師が在籍していない200床未満の医療機関と介護施設だ。
 日看協によると、助成を公表する前から、認定のための研修申し込みは例年より多く、感染制御のリーダーシップを取る専門家が必要だとの意識は高まっているという。
 荒木暁子常任理事は「新興感染症の世界的流行は新型コロナの後もきっと起こる。1人も在籍していない施設はもちろん、大きな施設では複数が働く環境を早く整備してほしい」と訴える。(共同=由藤庸二郎)

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