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医療新世紀

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飲酒行動の二極化も コロナのストレスで 依存せず気分転換を

2020.12.8 17:19

 新型コロナウイルスの流行で多くの人のお酒との付き合い方はどう変化したのだろうか。友人や同僚と街に繰り出す機会は減ったが、自宅での家飲みやオンライン飲み会は増えていそうだ。英国の調査では飲酒量が増えた人と減った人に「二極化」する傾向がみられた。長期化するストレスへの対処法は人によって異なり、日本でも同じ現象が起きている可能性がある。

アルコール依存症の注意点について話す久里浜医療センターの松下幸生副院長
アルコール依存症の注意点について話す久里浜医療センターの松下幸生副院長

 

 心配なのが多量飲酒の人が止まらなくなってアルコール依存症になる事態だ。国立病院機構久里浜医療センターの松下幸生副院長は「悪いニュースばかりを気にしてストレスをため込むのを控え、お酒に頼らずにうまく気分転換してほしい」と話す。
 ▽氷山の一角
 英インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは、英国で今年3月下旬から実施されたロックダウン(都市封鎖)の影響を調査。5~6月に多量飲酒者やアルコール疾患の患者約180人にアンケートすると、24%が「酒量が増えた」と答えた。一方で19%が「減った」と回答した。一般人を対象にした英国の別の調査でも二極化の傾向がみられた。
 国内では緊急事態宣言が出された4~5月に酒類の消費が増えたことを示すデータがある。外食産業は営業自粛を余儀なくされたが、コンビニやスーパーで販売が伸びた。ただ飲酒行動に関する医学的調査は国内ではまだ少ないのが現状だ。
 久里浜医療センターは6~8月、全国の「断酒会」に参加する約6400人を対象に郵送によるアンケートを実施。回答した約3千人のうち、1~6月の間に「飲酒してしまった」と答えた人は6%強だった。

 
 

 


 自粛前に飲酒した人も一部含まれる。断酒を続けられずに脱落する人は普段から一定割合で存在するため、松下さんは「これだけでコロナによって飲酒者が増えたとは言えない」と話す。
 ただ気になるのが半数以上が未回答だった点。「今見えているのが氷山の一角である可能性はある」と懸念する。
 ▽解消法
 松下さんらが東日本大震災後に岩手県と宮城県で実施した調査では、津波の被災地に近い沿岸部で、飲酒頻度が多い人と少ない人に分かれる傾向がみられた。松下さんは「日本でも英国と同じようにコロナ流行に伴う飲酒行動の二極化が起きていても不思議ではない」とみる。
 なぜ二極化が起きるのか。松下さんは「ストレスを解消するためにお酒を飲む人と、人と交流する目的でお酒を飲む人がいる違いではないか」と分析する。
 社交目的の飲酒が好きな人は街飲みが減る一方、オンライン飲みで仲間の顔を見ながらストレス解消できる。泥酔して終電を逃す心配もない。
 ▽リスク
 一方、もともと気晴らしのために飲酒する人は、長く続くコロナ流行のストレスでつい深酒になりがち。寝酒で睡眠の質が低下し、かえって酒量が増える悪循環も起きる。松下さんは「こうした人は自宅で過ごすことが多くなる冬に向けて依存症のリスクに注意してほしい」と呼び掛ける。
 日本アルコール関連問題学会は依存症を防ぐための注意事項をホームページで掲載している。
 定期的な活動スケジュールを作成し、適切な睡眠と食事を心がける。自分に合ったリラックス法を取り入れるのが一例。会話や食事で家族との時間を充実させる。不安で暗い気分になるニュースを減らし、1日の決まった時間に信用できるメディアから情報を得るのも有効。在宅勤務の際には仕事と休憩時間をはっきり区別するのも重要だ。(共同=吉村敬介)

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