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医療新世紀

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男性がん患者も自分らしく 治療中の外見ケア支援 電子ガイドブック公開

2020.6.24 12:57
 抗がん剤の副作用で脱毛したり、爪がぼろぼろになってパソコンを打てなかったり―。がん治療は時に、患者の外見に望まぬ変化を引き起こす。気持ちが落ち込み、周囲の人との間に溝を生むこともある。見た目に悩むのは男女を問わないが、特に男性は一人で苦痛を抱え込みがちだ。そんな男性たちが自分らしく生活できるような外見ケアのヒントを、国立がん研究センター中央病院(東京)が電子ガイドブックにまとめて公開した。
電子ガイドブック「NO HOW TO」の画面
電子ガイドブック「NO HOW TO」の画面

 


 ▽無人島なら
 タイトルは「NO HOW TO(ノーハウツー)」。「あなたの選択に決まり切ったハウツーはない」という意味を込めた。女性向けの情報は多いが、男性向けガイドは初めてという。中央病院アピアランス支援センターの野澤桂子センター長と公認心理師の藤間勝子さんらが執筆した。
 野澤さんらが2015年、中央病院に通院中の男性がん患者に実施したアンケート(有効回答823人、平均65・3歳)によると、「仕事中に外見を以前と同じように見せることは重要だと思うか」という問いに「かなりそう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた人は計約65%。「外見は仕事の評価に影響がある」と答えた人も約60%に上った。
 「患者さんの多くは無人島にいれば悩まない。外見の悩みは、人に会うからこそ生まれます。『男なのに外見で悩むなんて』と思わずに、ガイドを自分らしい生活を取り戻す手掛かりにしてほしい」と野澤さん。
 ▽あるがままも
 どんなヒントを与えてくれるのだろうか。
 例えばウイッグ(かつら)。ガイドによると、脱毛前の髪形と似た物でもいいし、全く違う髪形で新しい自分と出会うのもいいという。高価な医療用を買う必要はない。洋服と同様、値段にかかわらず自分で似合うと思えば何度でも使いたくなり、外出が楽しくなる。
 肌のケアは、保湿をするだけで表情は生き生きと見える。顔にクリームを塗るなら、ティッシュペーパーを貼っても落ちないくらい、たっぷりとつけるのが重要だ。
 眉毛が抜けると相手に表情が分かりにくくなることは意外と知られていない。線を1本引くだけでも様になるが、「そのままでいいという気持ちを大切にすることだってあり」と、あえて手を加えない方法も提案する。
 
 

 

 「気になる部分を隠すか隠さないかの問題ではない。どうしたら社会と今まで通りの関係性をつくれるのか考えることが大切。答えは一人一人違う」と野澤さんは話す。
 ▽固定観念
 ガイドには男性患者の心情も多数掲載した。
 40代の男性は「ハゲるのはイヤだ。ずっと髪が濃かったから、ハゲてる人を心の中で笑っていた。友達にも会えない。仕事をする気にもなれない」と胸の内を明かした。
 60代男性はウイッグに挑戦。職場の同僚に感想を尋ねると「似合う」とほめられた。ウイッグを外して仕事をすることもあり、周囲の理解を得て自分らしい働き方が可能になったという。
 自身も乳がん経験者で、がんにかかった人にメークのこつを助言する美容ジャーナリスト山崎多賀子さん(59)は「外見の変化に悩む男性からの相談は増えている」と話し、ガイドが男性の本音を紹介したことを高く評価。「がんを経験したことのない人たちにも読んでもらえれば『男が脱毛を気にするなんて』とか、『男が化粧なんて』といった固定観念を取り払うきっかけになるかもしれない」と期待する。
 ガイドはアピアランス支援センターのウェブサイトから無料ダウンロードできる。(共同=山岡文子)

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