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医療新世紀

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コロナ予防、歯科も懸命 衛生用品不足は深刻 堀・日歯会長に聞く

2020.6.16 19:37
 「新型コロナウイルス感染が拡大している時期に、歯科治療を受けても大丈夫か」―。そんな不安の声を耳にする。確かに、歯を削る際に唾液や血液を含んだ飛沫(ひまつ)が生じる歯科は、感染リスクが高そうだ。しかし、これまでのところ国内で治療を通じた新型コロナの感染例は、患者側でも、歯科医師や歯科衛生士などの医療者側でも報告されていない。会員約6万5千人を抱える日本歯科医師会の堀憲郎会長に、歯科の現状を聞いた。
インタビューに答える堀憲郎日本歯科医師会会長
インタビューに答える堀憲郎日本歯科医師会会長

 

 ▽標準予防策
 ―歯科治療における新型コロナ感染のリスクをどう評価しているか。
 歯科の感染リスクが高いという指摘は、ある意味では正しいと思います。ただしそれは、感染の自覚がない患者さんから歯科医やスタッフにうつるリスクで、治療を通じ患者さんが感染するリスクではありません。歯科の現場では、肝炎ウイルスやエイズウイルスなどから医療者を守るため、日頃から「標準予防策」を徹底しています。新型コロナではさらに追加の対策も講じています。
 ―標準予防策とは。
 全ての人の血液、体液、汗以外の分泌物、排せつ物、損傷のある皮膚、粘膜には感染性があるという考えを基本に実施する予防策です。マスクやゴーグル、手袋などの個人防護具装用や、器材の洗浄・消毒・滅菌など多岐にわたります。
 ―追加した対策は。
 受診者に検温や、味覚・嗅覚の異常の有無確認を行い、感染の疑いがあれば相談センターに紹介します。待合室や診療室の十分な換気、密集化を防ぐ受診予約の調整なども実施しています。
 ▽適切な評価を
 ―治療時の対策は。
 エアロゾルが発生する切削器具の使用を最小限に抑え、飛び散った微粒子を吸引する機械を併用しています。
 ―物資の供給は。
 マスクや消毒用エタノール、手袋、使い捨てエプロン、紙コップなどの衛生用品の不足は今も深刻です。マスクやフェースガードを自作しているケースもあります。
 ―感染に対する不安の声は現場にあるか。
 歯科医師もスタッフも懸命に歯科医療提供に取り組んでいます。不安より、現場の努力が国民から適切に評価されないことを残念がる声が多く聞こえてきます。
 ―受診者数に変化は。
 治療延期も含め、4月以降は全国どの地域でもかなり減っています。
 ▽PCR検査
 ―5月初め、国民向けの新聞広告を出した。
 緊急性が少なく、先送りしても大きな問題がない治療や定期健診、訪問診療について、延期を検討する場合があることへの理解を求めました。ただ、痛みや腫れは放置できないし、歯周病管理や訪問診療の延期も全身状態悪化につながる恐れがあります。高齢者は口腔(こうくう)衛生状態の低下で誤嚥(ごえん)性肺炎のリスクも高まります。緊急性は患者さんごとに異なるので、決して自分で判断せず、かかりつけ歯科医とよく相談していただきたい。
 ―歯科医もPCR検査を担うことになった。
 医師や看護師などの確保が難しい場合に、地域のPCR検査センターで行うという特例的、時限的な措置です。歯科医院で検査を受けられるという誤解が一部にあり、現場が混乱しました。
 ―国に望むことは。
 衛生用品が確実に歯科医療の現場に届くよう支援してほしい。歯科医療機関の8割は経営体力の弱い診療所なので、新型コロナ収束後も医療提供体制を維持できるよう、十分な財政支援をお願いしたいと思います。
  ×  ×  ×
 ほり・けんろう 1952年、新潟県長岡市生まれ。日本歯科大卒。同市内で歯科医院を経営。日本歯科医師会では2016年3月から現職。(共同=赤坂達也)

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