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医療新世紀

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膵炎は早期診断で改善期待 患者は生活の見直しを 研究進展し、基準改訂

2020.3.24 0:00
 三大栄養素すべての消化・吸収に関わる膵臓(すいぞう)。この大事な臓器が傷む「膵炎」は、進行してから見つかることが多い上、慢性化するとなかなか治らない。だが最近、慢性膵炎を早期に診断して症状を改善する試みが急速に進んでいる。診断基準が昨年、10年ぶりに改訂され、より正確な早期診断にめどが立った。背景には画像検査機器の精密化や薬剤の進歩があるが、専門医は、飲酒や脂の多い食事を避ける患者自身の生活見直しが必須だとしている。
 ▽より厳密に
 診断基準改訂に当たった正宗淳東北大教授(消化器内科)によると、前回2009年の改訂では、早期慢性膵炎の疑い例を幅広く探し出して病気の進行を追うことに力点が置かれた。
 その結果、この基準で早期慢性膵炎と診断された患者は、従来の慢性膵炎の患者に比べて女性が多く、酒(アルコール)が原因である割合も低かった。また、その後2年間追跡できた患者83人では、アルコール性の男性4人だけが慢性膵炎に進行していた。
 こうした研究を総合して、より厳密に診断できる基準を選び出したのが新しい診断基準だ。
 ▽画像の進歩
正宗淳東北大教授
正宗淳東北大教授

 

 早期診断の道が開けてきたのには、画像診断の進歩も大きい。
 正宗さんは「磁気共鳴画像装置(MRI)で胆管、膵管を撮影するMRCPという方法で、細い膵管までよく見えるようになった」と話す。炎症は、川で言えば支流に当たる細い膵管から始まりやすいという。
 また、口から胃に超音波検査装置の付いた内視鏡を入れ、胃の真裏にある膵臓を精密に写し出す手法も一般化してきた。画像でどのように見えたら膵炎が疑われるのかもかなり分かってきた。
 アルコールの摂取量の影響をより重視する方針も入れられ、従来の「1日当たり80グラム(日本酒4合に相当)」から60グラムに引き下げられた。
 正宗さんは「飲酒習慣がない人でも膵炎は起きるが、それに関わる遺伝子も特定されてきたため、飲酒と並ぶ基準の一つに取り入れた」と話す。
膵炎の超音波検査について説明する伊藤鉄英福岡山王病院肝胆膵・神経内分泌腫瘍センター長=福岡市
膵炎の超音波検査について説明する伊藤鉄英福岡山王病院肝胆膵・神経内分泌腫瘍センター長=福岡市

 


 ▽背中の痛み
 患者はどんな兆候に気を付ければいいのか。
 膵疾患に詳しい伊藤鉄英福岡山王病院肝胆膵・神経内分泌腫瘍センター長によると、進行した慢性膵炎には特有の背中の痛みがある。「背中の少し左側をたたくと痛む。朝方に痛みや違和感が強まるようなら要注意」という。「病気の初期では、消化液が不足することによる“もたれ”や、便通の異常、おなかの張りなどもみられます」
 慢性膵炎が疑われる場合は、まず血液検査と、おなかの上から超音波検査。がんの疑いなどを排除できたら、超音波内視鏡検査やMRCPを行い、基準に沿って確定診断に結びつける。
 治療には、膵臓が壊れるのを防ぐ「タンパク分解酵素阻害薬」が有効。不足した消化液の代わりに消化を助ける薬や、必要に応じて胃酸を抑える薬が処方される。
 「ただ、飲酒や食事に原因がある場合、薬で症状を一時的に抑えることができても、生活を改めないといずれ進行する」と伊藤さん。患者には、管理栄養士の指導を必ず受けてもらうという。
 
 

 

 伊藤さんが患者に勧めるのは七つの生活習慣だ。まず食生活では「油物を控える」「辛い物を避ける」「酒を飲まない」「脱水を避ける」「よくかんで、ゆっくり食べる」。そのほかに「便秘をしない」「ストレスを避ける」だ。
 そしてこの七つと同様に大事なのが「受診の継続」。痛みが治まったからと通院や服薬を中断する患者がいるが、多くは進行してから再受診することになるという。(共同=由藤庸二郎)

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