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医療新世紀

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研究進む思春期の側彎症 食習慣は発症に関係なし 女子中学生対象に調査

2020.3.17 0:00
 背骨(脊柱)がねじれを伴いながら側方に曲がってしまう「脊柱側彎(そくわん)症」。その80%前後は原因が分からない「特発性」だ。中でも多いのは10歳以降に発症する思春期特発性側彎症で、患者の大半を女子が占める。原因不明とはいうものの、近年の研究で発症に関わる遺伝子や、生活習慣や運動との関連性が次第に明らかになってきた。最近も2千人を超える女子中学生を対象とした調査で「食習慣との明確な関係はない」との結論が初めて導き出された。
側彎症のエックス線写真(渡辺准教授提供)
側彎症のエックス線写真(渡辺准教授提供)

 


 ▽女子に多い
 東京都内の中学3年生A子さん(15)が背中の痛みを訴えたのは中1のころ。最初は部活のバドミントンのせいだと思っていたが、いつまでも痛みが消えない。仕方なく自宅近くの整形外科医院を受診した。撮影されたエックス線写真に母B子さんは驚いた。「背骨が見たことがないくらい曲がっていました」
 だが、その後に受けたのは痛みを緩和するリハビリのみ。ようやく別の医院で「側彎症」と確定診断されたのは中3になった昨年のことだ。「コブ角」と呼ばれる背骨の湾曲の程度は48度まで進行し、既に手術が必要な状態だった。A子さんは慶応大病院(東京都新宿区)に入院し、今年1月に手術を受けた。
 主治医の渡辺航太整形外科准教授によると、コブ角10度以上の特発性側彎症の発生率は2~3%とされる。国内の疫学調査では、13~14歳の女子での発生率が2・51%、男子は0・25%とのデータがあり、女子の発症が圧倒的に多い。
 ▽関連遺伝子
 側彎症は何が問題なのか。背骨が大きく曲がると容姿に悪影響が及び、精神的にも大きなストレスになる。特に女の子の場合は深刻だ。また、胸郭や肋骨が変形して肺が圧迫され、呼吸機能が低下する。背中や腰に痛みが生じることもある。
 
 

 治療では、発見時の年齢や湾曲の程度などから進行の可能性を見極めることが重要になる。一般的にコブ角が25度未満なら経過観察、25度以上40度未満なら装具を着けて進行を抑え、40度以上は手術が必要とされる。

 早期発見のため、国内では2016年度から、小1~高3の学校検診で側彎症のチェックが必須化された。家庭でも、前かがみになって背面の左右差を見る前屈テストなどで家族が異常に気付くチャンスはある。
 発症原因については、慶応大などの研究で関連遺伝子が次々に見つかっている。また、通学かばんの重さやかばんの形、寝る姿勢、睡眠時間などとの関連はなく、バレエなど一部の運動は関連するとみられている。
 ▽安心情報
 今回、渡辺さんら慶応大グループは、13~15年に学校検診で側彎症が疑われ、専門医による2次検診を受けた都内の女子中学生に、過去1カ月間の食事を詳細に質問。解析対象となった2431人について、側彎症と診断された1161人と、されなかった1270人の食事内容を比較した。
 その結果、これまで関連があると考えられていたカルシウム、ビタミンA、B6、D、銅、マンガンなどの栄養素摂取量はいずれも側彎症と明確な関係はなく、これらの栄養素を多く含む牛乳・乳製品、魚介類、肉類などの食品摂取量も同様であることが分かった。
 保護者にとって毎日の食事との関係は気になるところだ。A子さんの母B子さんも「小学校高学年になり牛乳やチーズを食べなくなった。病気との関係が心配だった」と振り返る。
 渡辺さんは「子どもが側彎症になると、食事のせいではないかと自分を責めるお母さんも多い。今回の結果は安心情報。過度に気にせず、バランスの良い食事を心掛けてほしい」と話している。(共同=赤坂達也)

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