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医療新世紀

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大人もワクチン考えよう 破傷風や帯状疱疹など 専門家団体、啓発に力

2019.8.27 0:00

 感染症を予防したり、かかっても軽く済ませたりするためのワクチンには大人にも勧められているものがある。子どもの時に打っていない、接種から年数がたち効果が低下したなど推奨理由は幾つかあるが、費用が自己負担になる任意接種のワクチンが多いこともあり、あまり知られていない。利点に気付いてもらおうと専門家の団体が市民の啓発に力を入れ始めた。

 ▽10種類余り

 
日本プライマリ・ケア連合学会の「こどもとおとなのワクチンサイト」

 地域で医療に携わる医師らでつくる日本プライマリ・ケア連合学会は昨年6月、インターネットに「こどもとおとなのワクチンサイト」を開設した。20歳以上の大人についても、毎冬のインフルエンザをはじめ10種類余りのワクチンについて、接種回数や勧める年齢層などを解説している。まとめの中心になった総合診療医の中山久仁子さん(愛知県蒲郡市)は「大人にも大切なワクチンがあることを知らせたい」と狙いを語る。一部を紹介しよう。

 ワクチンが特に必要な年齢がはっきり線引きできるのが破傷風だ。土の中にすむ破傷風菌の毒素による感染症で、発病するとけいれんなどが起き致死率は2割超と高い。

 破傷風のワクチンは、乳児に原則無料の定期接種が始まったのが1968年。それ以前に生まれた人は免疫がない可能性が高い。「破傷風トキソイド」というワクチンを3回打つと基礎的な免疫ができる。3回接種済みの人も、10年ごとに1回追加接種して免疫を上げるのが望ましいという。

 ▽3種混合

 何週間も苦しいせきが続く百日ぜきは近年患者が増え、注目されている。原因は百日ぜき菌。乳児がかかると重症化し、命の危険もある。

 50年代から子どもへの定期接種が始まったが、70年代など接種率が低い時期もあるという。ワクチン未接種の人は、百日ぜきのほか破傷風とジフテリアを含んだ3種混合(DPT)ワクチンの3回接種で基礎免疫がつく。同ワクチンは子ども専用だったが、2016年から成人向けとしても国の承認を受けた。

 皮膚に帯状の発疹が出て痛む帯状疱疹は、水痘(水ぼうそう)のウイルスが原因。過去に感染し体内に潜んでいたウイルスが、体力や免疫の低下とともに暴れだす。水痘ワクチンは16年、50歳以上の帯状疱疹予防目的に使えるようになり、同学会は60歳以上の人に1回の接種を推奨している。

 だがこれは毒性を弱めたウイルスでつくった生ワクチンなので、抗がん剤治療などで免疫低下状態が長く続いている人は接種できない。昨年3月、免疫機能が低い人も使用できる不活化ワクチンが承認されたため、発売されれば生ワクチンが打てない人も接種できるとして期待されている。

 ▽子どもも守る

 
「VPDを知って、子どもを守ろうの会」の大人のワクチン啓発ページ

 大人がワクチンを希望する場合、かかりつけ医がいればそこでの相談が基本になるが、ワクチンの種類によっては対応していない医療機関もある。
 ワクチンで防げる病気(VPD)から子どもを守ろうと08年に活動を始めたNPO法人「VPDを知って、子どもを守ろうの会」理事長で小児科医の菅谷明則さん(東京)は「小児科でも、子どものワクチンの充実に伴って医師の関心や対応力が高まっていった。大人のワクチンについて医師が全般的な知識を持つ必要があるのではないか」と指摘する。

 同会は「大人の感染症を防ぐことが子どもを守ることにもつながる」として、昨年からウェブサイトで大人のワクチンの啓発に乗り出した。サイトでは、予防接種に積極的な全国の会員医師の名簿も公開している。

(共同通信 吉本明美)

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