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医療新世紀

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進化する糖尿病の血糖測定 体に装着し常時記録 きめ細かい自己管理可能

2019.7.23 0:00

 糖尿病では、血糖値をできるだけ正常範囲内に保つことが、病気の進行を食い止め、合併症を予防するのに大切だ。血糖値を下げる薬「インスリン」を自己注射する患者は、1日数回、指先で少量の採血をして血糖を測り、薬の量を調整する。しかし近年、皮膚に着ければ血糖変動を連続して測れる装置が急速に普及している。1日の中での変動を知れば、きめ細かい調整で高血糖、低血糖を避けるのが可能になった。装置の使い方について専門家に聞いた。

 ▽変動が分かる

西村理明さん
     西村理明さん

 この、持続血糖測定器(CGM)は、厳密には血糖を測るわけではない。早くから療養指導にCGMを活用してきた東京慈恵会医大の西村理明教授(糖尿病学)によると、血糖値と連動する皮下の「間質液」の糖濃度を連続して測定、記録する。変動は血糖値から少し遅れるが精度は高く、ほぼ血糖値と同等と考えていい。西村さんは「採血ではその時点の血糖値しか分からないが、CGMは変動を持続的に把握できるのが特長」という。

 糖尿病では、血糖の自己管理が求められる。だが従来、管理が良好かどうかは受診時に血液検査をして、過去2~3カ月間の血糖値を反映したHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)という数値を調べるのが主流。ただ、HbA1cはあくまでその期間の平均値。数値が良くても、血糖値が乱高下している場合もある。

 これに対してCGMは、日常生活における変動データが全て得られる。乱高下していれば、食事や薬をどう変えればいいのか、よりきめ細かい対応が可能になった。

 
 

 

     ▽低血糖を防止

 必要なのは、二の腕やおなかに着けたセンサーと、測定値を見る専用機器や専用アプリを入れたスマートフォンだけ。患者は人目を気にせずいつでも、どこでも数値を知ることができる。

 福岡市で糖尿病専門クリニックを開く南昌江医師は「隠れた低血糖を防げることが大きな利点の一つ」と話す。南さんは自らも1型糖尿病だ。「合併症も心配だが普段、最も恐れているのはやはり低血糖だ」と言う。

 インスリン自己注射によって血糖値を下げ過ぎてしまうと、意識を失う場合さえある。日中ならその兆候としての発汗や疲労感、思考力の低下などで気付けるが、怖いのは夜間、就寝中の隠れた低血糖だ。近年、夜間低血糖と心臓の異常との関係を示す複数の研究結果も報告された。従来の採血法では朝食前に測っても血糖値は既に上昇しており、夜中にわざわざ起きて採血しないと低血糖に気付けなかった。

 南さんはCGMを組み込んだインスリン注入ポンプを着けてから低血糖を防止しやすくなったと言う。「自分で夜間の数値を把握し、薬の調整や糖分の摂取で対処できる安心感が大きい」とその効果を実感している。最新型では、低血糖を予測して注入を止める機能が付いたポンプもある。

 ▽患者の意欲必要

南昌江さん
       南昌江さん

 西村さんも南さんも、初めてインスリンを使う患者にはまず、採血によって血糖測定と自己管理を学んでもらう。血糖管理の基本が分かっていなければ、CGMを使いこなせないからだ。

 西村さんは「患者の療養指導は劇的に変わった。今や糖尿病を診る医師は、データを読んでどう指導するかが問われている」と指摘する。同時に「上手に利用するためには、血糖をきちんと管理したいという強い思いも求められる」と患者の意欲の大切さを強調した。

 南さんは「せっかくの便利な機器を宝の持ち腐れにしないよう、何をいつ、どう食べたら血糖がどう動くのか、運動したらどうなのかなどを知って、暮らしを見直してほしい」と話している。

(共同通信 由藤庸二郎)

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