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医療新世紀

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肝臓の難病、患者増える 免疫系が自分を攻撃 相談で正しい情報得て

2019.6.18 0:00

 肝臓病の中には、体を守る免疫系が自分の肝臓を攻撃してしまうものがある。「自己免疫性肝疾患」と総称される3種類の病気。比較的珍しく、難病に指定されているが、いずれも近年患者が増え、注目が集まっている。放置すると肝硬変になるが、早期から適切な治療を続ければ、完治は難しいものの普通の生活を送れる人が多い。病気の正しい理解のため、一度は専門医の診察を受け、国の研究班や患者団体の相談窓口も活用したい。

 
 

 ▽胆汁の流れ悪化

 肝臓では、食物消化液の胆汁が肝細胞でつくられる。胆汁は大小の胆管を通って胆のうに蓄えられた後、十二指腸に流れ込んで働く。

 3種類の病気のうち、原発性胆汁性胆管炎(英語名の頭文字はPBC)は、肝臓内の細い胆管が免疫系の攻撃で傷み、胆汁の流れが悪化する。かつては肝硬変になるまで見つからなかったが、現在は、健診などの血液検査で、自覚症状のない初期段階で見つかる人が多い。発症の中心は50~60代の女性。近年は男性も増えている。

 厚生労働省研究班の2018年の調査で、全国の患者数は約3万7千人と推定された。04年の調査結果(約1万3千人)から3倍近くに増えた。研究班の事務局を務める田中篤・帝京大教授は「原因は不明だが海外でも患者は増えている」と話す。患者の7割にウルソデオキシコール酸(ウルソ)という薬が有効だ。

 ▽3万人と2千人

 約3万人と2番目に患者が多い自己免疫性肝炎(AIH)は肝細胞が壊れる。目立つのはやはり50~60代の女性だがここでも男性患者の増加がみられる。ステロイドがよく効くので、肝機能の推移を見て医師が薬の量を慎重に調節する。患者が自己判断で薬をやめるのは厳禁。肝炎が悪化し治療が大変になるためだ。

 原発性硬化性胆管炎(PSC)はPBCと同じく胆管がやられるが、こちらは太い胆管が硬く狭くなる。患者数は約2300人。男性がやや多く20代も珍しくないことから「他の2疾患とは性質が異なるようだ」と田中さん。ウルソで治療されるが効かないことも多く、新薬が待たれている。

 ▽数値に出ない症状

 小学生でAIHになった東京在住の女性(37)は少量のステロイドの服用を続ける治療で肝機能は安定していたが、10年ほど前にPSCも合併していると診断された。

 日常生活に大きな制約はないが、ステロイドの副作用とみられる骨密度の低下が見つかり、その治療も始めた。また「疲れやすさや不調もあるが、病気のせいかそうでないのか、分かりにくい」と話す。

 田中さんは「治療で肝機能が改善しても、疲れやすさのように検査数値に表れない自覚症状を抱えている人が多い。それをどう把握し改善するかが課題の一つ」と言う。 

研究班のホームページ
         研究班のホームページ

 PBCやPSCの患者の一部を悩ませる全身のかゆみはその一例で、本人が訴えないと医師は気付かない恐れがある。「かゆみは薬で改善できるし、他にも対処可能な症状はある。病気のせいなのかどうか分からないと思っても、まずは医師に話して」と田中さん。

 自己免疫性肝疾患は長い経過をたどることが多いため、詳しい専門医を受診するのが望ましいが、近くに専門医がいない患者らのために、田中さんらはメールや電話で相談を受け付けている。研究班のホームページ(http://www.hepatobiliary.jp)には、相談方法のほか病気の解説も掲載されている。患者団体の「東京肝臓友の会」も毎週月、水、金曜の午前10時~午後4時に電話03(5982)2150で相談に応じている。

(共同通信 吉本明美)

【PBC】Primary Biliary Cholangitis

【AIH】Autoimmune Hepatitis

【PSC】Primary Sclerosing Cholangitis

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