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医療新世紀

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肥満でない糖尿病に注意 肝臓、筋肉の脂肪が影響

2019.6.11 0:00

 生活習慣病である2型糖尿病は「太った人の病気」とのイメージが強いが、それは間違いらしい。日本を含むアジア人では、痩せた人でも欧米人より発症リスクが高いことが、各国の研究で分かってきた。体重や体格だけでは分からないリスクと、取るべき予防策について専門家に聞いた。

 ▽人種差

 2型糖尿病は進行はゆっくりだが、神経障害や腎臓病、目の網膜症など合併症が起きやすい。脳梗塞や狭心症、心筋梗塞のリスクも高まる。

 2型患者では、膵臓(すいぞう)から出て血糖値を下げるホルモン「インスリン」が不足したり、インスリンは出ているのに血糖値を下げる反応が悪くなる「インスリン抵抗性」が起こったりする。

 
 

 インスリン抵抗性は肥満や遺伝、運動不足、高脂肪食などによって高まるが、国立国際医療研究センターの植木浩二郎・糖尿病研究センター長は「そのメカニズムは複雑で、詳細はよく分かっていない」と言う。

 ただし、植木さんによると欧米人とアジア人で糖尿病発症率の違いが知られている。1960年代に米ハワイ州で白人より日系人の方が発症率が高いことが分かり、米本土の日系2世でも同様の傾向が明らかになった。

 脂肪のたまり方に差があるらしい。植木さんは「欧米人は皮下脂肪が厚いがインスリンの分泌も多く、多少太ってもインスリン抵抗性が低い人が多い。一方、アジア人は普通の体格や痩せた人でも同程度の体格の欧米人より発症リスクが高いとの見方が有力だ」と話す。

 ▽メタボ予備軍

 太っていない人の糖尿病の仕組みを研究している順天堂大代謝内分泌内科・スポートロジーセンターの田村好史・准教授らは、体格指数(BMI)が25未満である非肥満の日本人男性94人の協力を得て、全身のインスリンの効きを詳細に調べた。インスリンが正常に働けば、血液中の糖は筋肉に取り込まれて急減するが、健康と思われた人にもその働きが悪い人が多数いることが分かった。従来の「肥満によってインスリン抵抗性が表れる」という考え方とは異なる結果だ。

 効きの良い人と比べると、悪い人は「体脂肪率が高め」「皮下脂肪や肝臓の脂肪が多め」に加え「中性脂肪が多め」「脂肪を多く取る」「日常生活の活動量が少なめ」といった特徴が判明。肥満でなくても、メタボリック症候群の予備軍と言える状態になっていた。
 田村さんによると、近年はBMIに加えて、全身で筋肉や脂肪の割合を調べることが、糖尿病リスクを判断する上で重要だと指摘されている。

 ▽目指せ3キロ減量

 「運動不足などで血糖の多くを受け入れる筋肉に脂肪がたまると、インスリン抵抗性が起こる。これが続くと膵臓が酷使され、インスリンの分泌自体が悪くなる悪循環に陥りやすい」。こう話す田村さんは、太っていなくても筋肉に脂肪がたまった人は糖や脂質の代謝異常が起きやすいこと、痩せた女性では、筋肉が少なく脂肪がたまった人ほど高血糖のリスクが高いことなどの研究も発表している。

 植木さんは「親族に糖尿病の人がいるなど遺伝的背景がある人は特に気を付けたい。若い頃と比べて10キロ以上体重が増えた人も要注意」と話す。そういう人は、どう予防したらいいのか。植木さんが推奨するのは「まず3キロの減量を目指す」。若い頃の体重まで戻す必要はないそうだ。

 「皮下脂肪は“定期預金”、肝臓や筋肉の脂肪は“普通預金”です。たまりやすいが、取れやすい」。食事の改善と、日常の活動、運動を組み合わせるのが望ましい。歩数計の利用や、毎朝の体重測定も、やる気を維持するのに有効だという。

(共同通信 由藤庸二郎)

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