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医療新世紀

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移植受け、40%が脊髄症 HTLV1陽性の腎臓で

2019.3.26 0:00

 成人T細胞白血病ウイルス(HTLV1)の感染者から生体腎移植を受けた非感染の患者の40%が、移植後数年で歩行障害などを伴う「HAM」と呼ばれる脊髄症を発症していたことが、厚生労働省研究班(湯沢賢治代表)の調査で分かった。米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに発表した。

 通常のHAM発症率の100倍以上で、発症までの期間も短い。
 一方、腎臓の提供者(ドナー)と移植を受ける患者双方が感染者の場合、調査時点ではHAMの発症はなく、ドナーと移植を受ける患者の感染の有無の組み合わせによって、患者のHAM発症のリスクが大きく異なることが分かった。

 研究班の山野嘉久・聖マリアンナ医大教授は「HTLV1感染者は国内に100万人程度と多いので、腎移植の前には全例を検査し、感染者から非感染者への移植は中止を検討すべきだ」と話している。

 
 

 研究班は2000~14年に行われた腎移植で、ドナーと患者の少なくとも一方が感染者だった99例を分析した。

 感染者から非感染者への移植は10例。うち検査結果が入手できた8人中7人が新たに感染していた(感染率88%)。患者10人のうち4人(40%)が移植後1~8年でHAMを発症した。通常、HAMの発症率は0・3%程度、感染から発症までは数十年とされる。感染者から感染者へ移植した30例では発症はなかった。

 脳死や心停止後の移植では、HTLV1感染ドナーからの移植は行わない規定があるが、生体腎移植では、発症率が低いとの見方から感染者がドナーになる例もあった。山野さんらが14年、腎移植による重篤なHAMの発症例を複数見つけたのをきっかけに、研究班が調査していた。

(共同通信 吉本明美)

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