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医療新世紀

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吸入薬正しく使えてますか ぜんそく、治らぬ一因 多職種参加の支援に期待

2019.2.12 0:00

 かつて年間7千人を超えていたぜんそくによる死者は治療の進歩で大きく減少したが、いまだゼロにはなっていない。治らない原因の多くは、治療の基本である吸入薬の中断や使い方の誤りによるとみられる。どうすれば薬を正しく継続できるか。医療者のスキルを向上させて対応しようと活動する団体を取材した。

 ▽ピークの4分の1

 厚生労働省の人口動態統計によると、2017年のぜんそく死は1794人。過去30年で最多だった1995年(7253人)の約4分の1で死者の92%は65歳以上だ。
 ぜんそく治療に詳しい浅野浩一郎・東海大教授(呼吸器内科)によると、死者の大幅減をもたらしたのは吸入ステロイド薬の普及だ。「薬が気道に直接届くので効果が高く、副作用も少ない。90%以上の患者さんはこれで症状が落ち着く」

 だが残り10%近くは治療効果が不十分。浅野さんは「この中には病気自体が重症な人もいるが、薬を正しく使えていないため良くならない人もかなり含まれるのではないか。こういう人をまず減らす必要がある」と指摘する。

 
 

 ▽低い治療継続率

 吸入ステロイド薬は効果が高い一方、欧州の研究では治療継続率が吸入開始1年後で20%未満と低い。治療継続者も使い方の誤りが多く、ぜんそくの国際ガイドラインには「患者の70~80%は薬を正しく吸入できていない」と記されている。

 なぜか。聖マリアンナ医大横浜市西部病院の駒瀬裕子・教授(呼吸器内科)によると、よくある治療中断の理由はこうだ。患者の気道では症状がなくても炎症が続いているのだが、本人はステロイドで症状がいったん治まると、治ったと勘違いして治療をやめてしまう。「慢性疾患なので治療の継続が大切。このことを医師から説明されていない人もいる」という。

 薬の使い方の誤りは、吸入薬の種類の多さが一因だ。ステロイドを含め、ぜんそくに使われる吸入薬は20種類以上ある。

 使い方の基本は(1)軽く息を吐く(2)吸入薬の容器を口にくわえ薬剤を吸い込む(3)数秒息を止める(4)ゆっくり息を吐く(5)うがいをする―だが、薬によって勢いよく吸い込むもの、ゆっくり吸うものがある。容器を垂直にして使う薬もあれば、水平にする薬も。吸入を容易にする補助器具も複数あり、使用法はいろいろだ。その上、1人の患者に複数の吸入薬が処方されることが珍しくない。

並んで座り、吸入薬の使い方指導の練習をする研修会参加者
 並んで座り、吸入薬の使い方指導の練習をする研修会参加者

   ▽全国で研修会

 「高齢者は特に混乱しやすいが、若い人も正しく使えるとは限らない。なのに、薬と一緒に製薬会社の説明パンフレットを手渡すだけの薬局もある」と駒瀬さんは話す。
 駒瀬さんらは「吸入療法のステップアップをめざす会」を組織し、2014年にNPO法人化。医療者の吸入指導スキルを上げ、可能な限り標準化しようと、全国で研修会を開いている。

 18年11月、千葉市で開かれた研修会では、医療者役、患者役、観察役でチームをつくり、幾つもの吸入薬の使い方を学んだ後に指導法を練習した。

 合言葉は「やってみせる、やってもらう、繰り返す」。近年は「指導」でなく患者の意欲を助ける「吸入支援」と呼ぼうと提案している。薬剤師のほか、研修会で学んだ看護師や理学療法士が、積極的に患者の支援に関わる例も出てきた。

 その一人、複十字病院(東京)呼吸ケアリハビリセンターの理学療法士、角田健さんによれば「患者さんをよく観察し、この吸入薬の方が使いやすいのではと医師に提案することもあります」。

 駒瀬さんは「多様な専門職による支援が有効だが、現状は時間をかけてもきちんとした報酬は支払われない。制度をぜひ見直してほしい」と話す。

(共同通信 吉本明美)

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