メニュー 閉じる

医療新世紀

47NEWSの医療・健康サイトは、共同通信社と52新聞社が役に立つ医療、介護、健康情報をお届けします。最新ニュース、医師ら医療専門家のコラムやQ&A、共同通信の連載「医療新世紀」などの関連記事も充実。

知名度向上を理解につなぐ 乾癬の啓発活動が活発化  患者会が参加呼び掛け 

2018.12.18 0:00
 今年、乾癬(かんせん)という病気の知名度が少し向上した。皮膚が赤く盛り上がり、表面がふけのようにはがれ落ちる病気。患者であることを公表したファッションモデルの道端アンジェリカさん(33)が啓発イベントにたびたび登場し、ニュースやインターネットを通じて患者のつらさを訴えたからだ。患者らは、これを一過性の話題にせず、社会の理解につなげようと声を上げ、孤立しがちな患者には、悩みを打ち明けられる患者会活動への参加を呼び掛けている。
 
 
 乾癬啓発のためのファッションショーで道端アンジェリカさん(中央)らを囲んで笑顔を見せる患者ら
 
  ▽モデルでポーズ
 
 10月24日、東京都千代田区のホールで、日本乾癬患者連合会や学会、製薬会社共催のファッションショーが開かれた。モデルは全員が乾癬の患者。コーディネートと演出は、道端さんだ。
 
 肌触りが良く、患部が隠れる衣装を選んだ。出演者はランウエーでぎこちなくポーズを取り「発病後は服装に気を使わなくなっていた」「こんなにおしゃれが楽しめるなんて」と笑顔を見せた。
 
 10月28、29日には「INSPIRE JAPAN WPD乾癬啓発普及協会」が東京タワー(東京都港区)で啓発イベントを開催。病気の解説パネルを並べ、タワーを訪れた観光客にパンフレットを手渡すとともに、医師の解説や患者との対談、啓発動画をインターネット中継した。登場した患者らは、同じ悩みを抱える人たちとの交流で心が楽になった経験を口々に語った。
 
 ▽感染しない
 
 乾癬は自己免疫が関わる炎症性の慢性疾患で、日本の患者は40万~60万人と推定される。日本では男性が女性の2倍。完治はせず、体調や環境の変化で再発を繰り返しやすいが、塗り薬や内服薬、光線照射など従来の治療法に加え、炎症のメカニズムに働く生物学的製剤が投入され、症状が治まった状態を維持できる人が増えてきた。
 
 ただ、最適な治療にたどり着くのには時間がかかり、新薬も高額だ。途中でくじける患者も多い。外見や病名の響きから感染する病気だと誤解されていないかとの思いに、患者は一層苦しむ。「乾癬は感染しない」は啓発の標語にもなった。
 
 ネット中継中、SNSでは「病名を変えてほしい」「周知されても病気は良くならない」「治療は諦めた。経済的に厳しいから」と悲痛な声があふれた。皮膚症状が主な「尋常性乾癬」だけでなく、関節に痛みや腫れが出る「関節症性乾癬」や、皮膚に膿疱(のうほう)が現れる難病の「膿疱性乾癬」など、より深刻な患者の書き込みも相次いだ。
 
 
 

    ▽「自分も治る」

 今は肌がきれいに見えるイベント参加者も、ずっと軽症だったわけではない。「主治医に“治らない”と言われ絶望した」「何をやっても駄目で、一時は通院もせず“ぐれていた”」「膿疱性乾癬で何度か入院した」などつらい体験を明かした。

 
 多田弥生・帝京大教授(皮膚科)は「乾癬の治療は長引くことが多く、それでも粘り強く治療を続けることが大切」と話し、患者会参加はそれを促す意味で重要だという。
 
 多田さんは「実際に症状が治まった患者を目の当たりにし、体験談を聞けば『自分も』という気持ちが高まり、治療を続ける力になる」と指摘。「患者同士が最新の治療の選択肢について情報交換できれば、自分に合った治療探しにもつながる」と話している。
 
 東京タワーでは、スタッフに話しかけ「来て良かった」と言って帰った患者もいたという。同連合会は、11月現在で全国22カ所にある患者会の一覧と連絡先などをウェブサイトで紹介。まだ患者会がない地域で発足の動きがあれば連携したいとしている。相談は同ウェブサイトの問い合わせフォームから。
 
(共同通信 由藤庸二郎)
 

最新記事