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血友病、保因者にも医療を 出産時は母子にリスク 専門医への受診を推奨

2018.10.23 0:00
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 血友病は、血を固めるタンパク質「凝固因子」が不足し、血が止まりにくくなる先天性の病気で、一般に患者は男性と思われている。だが、遺伝的に素因を持つ女性の「保因者」でも血友病に近い症状が出る人がいる。血友病治療は急速に進歩し、日常生活に支障がない男性患者が増える一方、保因者の医療の必要性は、当人も含めて周知されていない。どのような対処が必要なのか、専門家に聞いた。

 
 

 

 

 ▽認知不足

 血液内科専門医でもある国立病院機構大阪医療センターの西田恭治・感染症内科医長によると、日本の血友病患者は約6千人。保因者は血友病患者の1・6~5倍とされ、国内で推定1万~3万人いるとみられる。

 西田さんによると、保因者の中には凝固因子の活性が低い人がいる。多くは止血に支障はないが、個人差が大きい。軽症の血友病患者と同様の皮下出血や貧血、さらに月経過多などの症状が出ることがある。出血が見込まれる外科手術や抜歯の際には注意が必要だ。

 問題は、多くの保因者が、保因者であることを知らず、症状が出る可能性を自覚していないこと。専門書は医療現場での保因者ケアの必要性に言及するが、医療者の間でも認知不足なのが実情だ。

 バイエル薬品が今年、保因者である血友病患者の母親54人を対象に調査したところ、自身に健康上の問題が起こる可能性を知っていたのは約8割。医療機関を受診する際、血友病患者の母であることを告げていない人が約4割いて、適切な医療を受けられていない可能性が浮上した。

 
 

 ▽確定と推定

 どんな人が保因者に該当するのか。確定保因者と推定保因者に大別される。確定保因者は(1)父親が血友病(2)2人以上の血友病の子がいる(3)1人以上の血友病の子がいて、母方の親類に血友病の人がいる―のいずれかに該当する女性。推定保因者は(1)1人の血友病の子がいる(2)母方の親類に血友病の子がいる(3)兄弟に血友病の人がいる―のいずれかだ。確定診断を受けるかどうかは本人の判断次第だが、推定保因者でも、健康上の問題が生じないか、常に気を付ける必要がある。

 「保因者の出産には特に配慮が求められる。妊産婦自身のケアのほか、血友病の新生児の出血を予防することが課題だ」と佐道俊幸・奈良県立医大准教授(産婦人科)。

 佐道さんによると、血友病の新生児は頭蓋内出血のリスクが健常児の約44倍という英国の研究がある。発見が遅れると後遺症が出たり、命に関わる事態になったりする恐れがある。

 ▽受け皿に課題

 佐道さんも加わって日本産婦人科・新生児血液学会が昨年まとめた、保因者の出産に関する指針では「血友病専門医と産科、小児科の連携」「妊娠中の凝固因子測定と適切な投薬」のほか吸引器などの器具を使う出産を避け、帝王切開は早期に判断するよう求めた。

 大阪医療センターの西田さんは、体調不良や家族歴などから思い当たる場合は女性に受診を勧めるよう、全国で医療者向けに講演している。

 凝固因子の活性を測ったり、親類に血友病患者がいないか改めて確かめたりするのを手始めに、保因者の長期的な健康チェックにつなげる。身近に血友病患者がいればその主治医に、いない場合は、血友病の専門医を探して受診することが大切だという。

 ただ、血友病は遺伝に関わる病気。保因者であることを知らされれば、精神的な負担も大きい半面、遺伝カウンセリングの専門家はまだ少ない。西田さんは「医療側が保因者を心身ともに支える受け皿を整えることが喫緊の課題だ」と話した。

(共同通信 由藤庸二郎)

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