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広がる自費のリハビリ 保険の制限に患者は不満 安全と質の担保が課題

2018.10.9 0:00
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 公的医療保険や介護保険で受けられるリハビリに満足できない脳梗塞などの患者向けに、保険外で全額自費のリハビリを提供する事業者が増えている。保険では回数や時間が制限され、「仕事や自立した生活に復帰したい」との希望に応え切れていないためだ。ただ、高額になるため経済力に左右されるほか、医学的な質をどう担保するかという課題もある。

 
 

 ▽多くのニーズ

 保険外リハビリで近年、施設数を急速に伸ばしているのが2014年設立の株式会社ワイズ(東京)だ。首都圏の1都3県のほか新潟、熊本を合わせ「脳梗塞リハビリセンター」を計11カ所展開。ノウハウを伝えた提携事業者が北海道、宮城、大阪、福岡など7都道府県で同様の施設を開いている。

 「料理ができるまで回復したい」「またパソコン入力ができるようになりたい」といった個人の希望や症状に合わせ、理学療法士(PT)らがマンツーマンで対応する。まひした手脚をPTが動かすほか、歩行やボール投げなどの運動にはり・きゅうも組み合わせる。

 基本プランは60日間で週2回、1回当たり約2時間受けて27万5千円(税別)。高額だが、同社の早見泰弘会長(45)は「複数の施設で利用待ちの状態。地方から来る人もいて、都会のお金持ちにとどまらない多くのニーズがある」と話す。

 
 

 ▽選択肢教えて

 静岡県三島市の佐野妙子さん(72)は、千葉県内に住む娘の家に身を寄せて今年3月から通算3カ月余り、千葉県内の同社のセンターに通った。

 昨年、脳梗塞で入院後、転倒して骨折し再び入院。病院でリハビリを受けたが、まひした左半身より右半身の機能強化が中心で、1日3時間と時間も限られていた。退院後に通った介護保険のリハビリも短時間で、回復状態に不満が残った。

 「ここは左半身もやってくれて、左手でボタンも押せるようになった」と佐野さん。要介護度は2から1に改善した。

 「よくなりたい気持ちが強かったので、費用がかかってもやりたかった。保険外でもこういう選択肢があることを、病院や介護施設は教えてほしい」と訴える。

 保険外リハビリが台頭する背景には、国が医療費の増加を抑えようと、医療保険が適用されるリハビリ期間を制限する一方、脳梗塞などを患う人が高齢化で増えてきたことがある。脳血管疾患の場合、国が定める標準期間は180日まで。介護保険では集団リハビリが中心で、機能の改善よりも維持が目的であることが多いため、不満を感じる人が出てくる格好だ。

 今年2月にはトヨタグループの「豊通オールライフ」も都内で施設をオープン。医療・介護を成長産業にしたい政府は、今年6月に閣議決定した成長戦略に保険外サービスの活用を盛り込み、推進へ旗を振る。

 ▽営利に懸念も

 ただ、患者団体「日本脳卒中者友の会」の石川敏一理事長は「個々人が保険外リハビリを選ぶことは否定しないが、経済力のない人は受けられない。『元の状態に戻りたい』という願いには終わりがないので、利益優先のビジネスにつけ込まれる懸念もある」と話す。

 日本生活期リハビリテーション医学会理事の石川誠医師は「回復の可能性があると医師が判断すれば、医療保険で標準期間を超えたリハビリの提供も可能。患者の期待に応え切れていない医療界にも責任がある」と指摘する。

 その上で、保険外リハビリ施設のほとんどは医師の関与がないため患者のリスク管理が不十分になる恐れを挙げ、「医師が定期的に患者の状態をチェックするなど、質を担保する仕組みがあった方がよい」としている。

(共同通信 市川亨)

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