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医療新世紀

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悪化防ごう女性の尿漏れ タイプで異なる治療法  受診で正しい対処を  

2018.9.18 0:00

 意に反して尿が漏れる尿失禁に悩む女性は多い。寒い季節の悪化が目立つものの、空調で体が冷える夏も要注意。恥ずかしさから自己流で対処しがちだが、尿漏れのタイプにより効果的な治療法は異なるため、泌尿器科の受診が悪化防止の早道だ。困りごとの相談窓口もあるので活用しよう。

 
 

 ▽突然の強い尿意

 東京で働くA子さん(56)が初めて尿漏れを経験したのは真冬の戸外だった。突然強い尿意を感じ、トイレへと歩き始めたところで漏れた。下着を替えなければならないほどの量で「自分はどうなってしまったのかと衝撃でした」と振り返る。

 それが2、3度続き、不安になって受診。医師に教わった体操を続け、コーヒーを控えたら、異常な尿意は治まった。

 日本排尿機能学会で女性の尿トラブルの診療ガイドライン作成委員長を務めた高橋悟・日本大教授(泌尿器科学)によると、A子さんの症状は切迫性尿失禁と呼ばれ、大きく2タイプある女性の尿失禁の一つだ。

 もう一つは、くしゃみや運動など、おなかに力を入れた瞬間に少量が漏れる腹圧性尿失禁。数はこちらが多いが、尿意が突然で漏れる量も多い切迫性の方が悩みは深刻。両方の症状がある混合性尿失禁の人もいる。

 尿失禁に悩む女性は40代以上の3人に1人とされるが、受診率は1割未満との調査結果がある。生命に関わる病気ではないものの、生活の質は大きく損なわれる。

 ▽自己流は誤りも

 主要な原因は、ぼうこうなどを支える骨盤底筋という筋肉の緩み。特に腹圧性尿失禁は、これを鍛える体操でかなり軽減できる。方法は、息を止めずに肛門や膣(ちつ)を体の中心へ引き上げるように10秒ほどぎゅっと締め、30秒ほど緩める―の繰り返し。効果が実感できるまでに2~3カ月かかるが、高橋さんは「自己流には誤りも目立つ。受診して正しい方法を教われば無駄がない」と指摘する。体操で改善しない場合は、体に負担の少ない手術という選択もある。

 切迫性尿失禁は、何らかの原因でぼうこうが過敏になり、本来400ミリリットルほどためられる尿が少したまった段階で強い尿意を感じてしまう。やはり受診が望ましく、水分摂取を適量に調節し、利尿作用があるカフェインを含むコーヒーやお茶は控える。トイレを少しずつ先延ばしする「ぼうこう訓練」や骨盤底筋体操も有効で、これら行動療法と薬物療法を組み合わせる。薬は、ぼうこうの過剰収縮を抑える抗コリン薬などがある。肥満も尿失禁を悪化させるため該当者は減量も有効だ。

 
      排尿日誌の例。ノートなどに書いてもいい

 ▽日誌見て気付く

 受診前に付けるといいのが排尿日誌。紙コップや切ったペットボトルに目盛りを付け、トイレのたびに尿量を測り記録する。飲み物や水分の多い果物も取った時間と量を記入。2~3日分の記録があれば診断に役立つ。冒頭のA子さんも受診後に日誌を付け、コーヒーをかなり飲んでいたのを初めて自覚したという。

 尿のトラブルの相談先は泌尿器科。前立腺がんなどを取り扱うため男性診療科とのイメージを抱く人も多いが、近年は「尿失禁外来」の開設や「女性泌尿器科」を掲げる施設も増えた。事前に尿失禁の診療をしているかを確認すれば確実だ。

 無料電話相談に応じる団体もある。NPO法人日本コンチネンス協会の「排泄の困りごと110番」。番号は050(3786)1145で、月4~8回の相談日程は協会ホームページに掲載している。会長で排せつケアに詳しい看護師の西村かおるさんは「尿失禁の認知度はかなり向上したが、受診をためらう女性はまだ多い。きめ細かい生活指導ができ、女性が行きやすい施設がさらに増えてほしい」と話す。

(共同通信 吉本明美)

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