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見えにくさ諦める前に 知って、ロービジョンケア 残る機能を生かす 

2015.4.14 9:29
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 物が見えにくくて困っているが、薬や手術での改善は難しいと言われたとき、ぜひ受けたいのが「ロービジョンケア」だ。残っている目の機能を最大限に生かす視覚補助具などを選び、日常の不便を減らす方策を探る。国内の普及は遅れていたが、3年前に健康保険が適用されてから取り組む眼科が少しずつ増えてきた。専門家は「諦める前にロービジョン外来に相談して」と勧める。
見えにくさ諦める前に 知って、ロービジョンケア 残る機能を生かす

 ▽高齢化で増加
 ロービジョンとは、眼鏡などで矯正しても視力が低い、視野が狭い、まぶしさを強く感じるといった「見えにくさ」により、生活に不自由を感じている状態を指す。国内では統一的な診断基準はないが、世界保健機関(WHO)は、左右いずれか良い方の矯正視力が0・05以上0・3未満、米国は同0・1超で0・5未満をロービジョンと定義している。
 日本眼科医会 が2009年に米国の基準で国内のロービジョン人口を推計したところ、約145万人になった。原因疾患は緑内障、糖尿病網膜症、白内障など高齢化と関連するものが多く、患者はさらに増えそうだ。
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 ▽外来開設
 ケアの内容とはどんなものなのだろう。
 70代のAさんは、最も見たい視野の中心部が暗くなる加齢黄斑変性が進行し、文字を読めなくなった。「何とか治したい」と大きな病院を幾つも訪ねたが、傷んでしまった網膜は元に戻らないとの診断。しかし網膜を詳しく検査すると、視野の中心でない箇所に物を見る力が残っていた。
 Aさんは、専門家に選んでもらったルーペを使い、視野の端の方で物を見る練習をすることで、不自由はあるが再び文字が読めるようになった。
見えにくさ諦める前に 知って、ロービジョンケア 残る機能を生かす

 これは、早くからロービジョンケアに取り組んできた杏林大病院 (東京都)での一例だ。
 病気の種類や個人により見えにくさは千差万別。その中で「残った視機能を正しく評価し、その人のニーズに合う補助具を選んだり環境を整える助言をしたりするには専門知識が必要で、時間もかかる」と同大の平形明人教授(眼科)は話す。
 ロービジョンケアをしても医療機関の収入につながらない時期が長かったため普及しなかったが、12年から研修を受けた眼科医らによる検査や指導に保険が適用され、ロービジョン外来の開設が広がり始めた(補助具の購入は保険の適用外)。日本眼科医会や日本ロービジョン学会 のホームページに対応医療機関が掲載されているが、まだ数は少ない。
 ▽届いていない
 その理由について、国立障害者リハビリテーションセンター病院 (埼玉県)の仲泊聡・第2診療部長(眼科)は「手術や薬で患者さんを治せなくなることを多くの眼科医は敗北と捉える。患者さんも治ることに期待したいので、今の生活の不便を減らすことへの取り組みが不十分になりがちだった」と解説する。
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 だが本来は治療と並行し、早い段階からケアを始めるのが望ましい。明るくゆがみが少ないルーペ、郵便の宛名が書きやすいよう枠がついた定規など、見えにくい人の生活を助ける商品は増えているが「まだまだ必要とする人に届いていないのでは」と仲泊さん。
 視覚障害者を支援する専門家らでつくる 視覚障害リハビリテーション協会 の吉野由美子会長(67)は、自身も先天性白内障のため良い方の矯正視力が0・2のロービジョン。吉野さんは「国内では視覚障害者といえば全盲の人を指すと考えられてきたため、生活に支障があるロービジョンの人が数多く存在し、それには対処法があることが知られていなかった。まずはロービジョンケアを多くの人に知ってもらうのが第一歩」と話している。(共同通信 吉本明美)

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