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医療新世紀

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知ろう、親ができること 普段の様子観察を 子どもの急病で団体訴え

2015.6.30 9:25
知ろう、親ができること普段の様子観察を子どもの急病で団体訴え
 せき、発熱、吐く、けいれん―。子どもの急な病気は、初めて子育てする親を大きな不安に陥れる。すぐ受診すべきかどうか判断に迷ったときのための電話相談窓口やウェブサイトなどが徐々に整備されてきたが、一番大切なのは、普段の子どもの様子を親がよく観察し「いつもとここが違う」と気付けるようになることだ。東京の市民団体「知ろう小児医療守ろう子ども達の会 」は、意外に見過ごされがちなその点を強調し、啓発に力を入れている。

 ▽あふれる患者
 同会代表の阿真京子さん(40)は、2004年に生後9カ月の長男が突然重症のけいれんを起こし、小児救急の現状を知るまでは「医療に全く関心はなかった」と話す。
 真夜中に飛び込んだ都心の大学病院の救急外来。待合室は子どもと親であふれかえっていた。けいれんが止まらない長男を必死で手当てする医師ら。ひっきりなしにかかる急患受け入れ要請の電話を、看護師が「重症の子がいるので無理です」と断る声が聞こえた。
知ろう、親ができること普段の様子観察を子どもの急病で団体訴え
 翌朝目を覚ました長男は幸い、後遺症もなく回復できた。だが眠っていないはずの医師はそのまま診療を続け、翌日もその翌日も働いていた。数日で長男が退院した後も、ごったがえす深夜の救急外来を思い出しては「こんなのおかしい」と思った。その後、救急受診する子どもの大半は軽症というデータを知り「私たち親が子どもの病気をもっと知れば現状を変えられるのでは」と07年に1人で会を立ち上げた。

 ▽教えてくれない
 会の活動は、協力してくれる小児科医を呼んで子どもの病気について直接話を聞く講座が中心。今年4月までの8年間に首都圏を中心に107回開催し、3364人の親が参加した。会員も約100人に増えた。
 伝えているのは「普段の子どもを知っている親からの情報は、医師の診断に不可欠」というメッセージ。当たり前のように聞こえるが、はっとする親も少なくない。「普段子どものどこをどう見ればいいかなんて、誰も教えてくれない」(ある参加者の感想)からだ。
 元気な時の子どものおなかの柔らかさや皮膚の張り具合などに注意を向けていると異変に早く気付きやすい。体調が悪くなって受診する際は、熱やせきなどの症状のほか食べる、飲む、寝る時の様子や、尿や便の量と回数が普段とどう違うかも医師に説明したい。数字はノートに記録しよう。
 休日や夜間に症状が出て、すぐ受診すべきか迷った場合は、小児救急電話相談 (短縮番号#8000にかけると地元の相談窓口につながる)や日本小児科学会のウェブサイト「こどもの救急 」が役に立つが、「相談する場合も、見るべきポイントを事前に知っていれば対応が違ってくる」と阿真さん。

知ろう、親ができること普段の様子観察を子どもの急病で団体訴え
 ▽当事者の目線で
 阿真さんらは今年、活動をさらに広げることにした。その一つが、子どもに多い症状や受診の仕方などを20のテーマにまとめた短いアニメ動画集制作への全面協力だ。ウェブサイト「シルミルマモル 」で3月から無料公開されている。
 動画という手法を取ったのは、産後数カ月は目が疲れて文章が読みにくい母親が多いという経験者ならではの知識に基づく。寝ている子の隣でも見られるように、音声なしで内容が分かるよう工夫した。さらに、子どもの体温や体調の変化を記録できるスマートフォンアプリも企業と協力して開発中だ。
 「親ができることは多いと知れば、必ず子どもの健康管理に役立つ。それがひいては、正しい受診行動と子どもの医療を守ることにつながると思う」。そう阿真さんは強調する。
(共同通信 吉本明美)

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