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医療新世紀

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一食品として賢く利用を新設の機能性表示制度生活見直すきっかけに

2015.12.15 11:58
 2015年4月に導入された機能性表示食品制度。特定保健用食品(トクホ)をはじめ複数の種類がある「体に良さそうな食べ物」の新顔だ。専門家は、新制度の特徴を理解した上で、特定の食品摂取に偏らずに、たくさんある食品の一つとして賢く利用するよう勧めている。

一食品として賢く利用を新設の機能性表示制度生活見直すきっかけに
▽消費者任せ
 体に良い効果が期待できるとして特別な表示が認められた食品にはこれまで(1)栄養機能食品(2)トクホ(3)特定の病気の人や妊婦、高齢者などに向けた特別用途食品―があったが、機能性表示食品の特徴は、国の審査がなく届け出制であることだ。

 11月末までに「内臓脂肪を減らすのを助ける」サプリメントや「血糖値の上昇を穏やかにする」成分を含むお茶、「おなかの調子を整える」乳酸菌が入ったヨーグルト、「善玉コレステロールを増やす」成分入りのジュースなど150品目以上の届け出があり、ミカンや大豆モヤシなど生鮮食品も含まれている。

 消費者庁は事業者が提出した有効性や安全性を示す資料が不足なくそろっているかを確認するが、内容が正しいかどうかを確認するわけではない。どんな根拠があるかを示すのは事業者任せ、事業者の説明に基づいて効果を判断するのは消費者任せになっている。だが、資料にある専門的な研究論文の妥当性を、特別な知識がない消費者が判断するのは難しい。消費者団体や日弁連は「安全性に懸念がある」と見直しを求めている。

▽健康な人向け
 消費者庁は提出資料を全てウェブサイトで公開し、表示の違反が疑われる情報を受け付ける専用の窓口も設置した。

 国立健康・栄養研究所の梅垣敬三情報センター長は「申請が取り下げられても資料は公開されたままになり、問題があれば企業の信用に関わる。それが、品質や効果に疑問がある商品を出回らせない一定の歯止めになり得る」と指摘する。実際、消費者団体などは科学的な根拠の読み取り方を啓発したり、資料にある安全性評価への疑問や不備を指摘したりといった活動を強めている。

一食品として賢く利用を新設の機能性表示制度生活見直すきっかけに
 梅垣さんは、機能性表示食品が健康な成人向けの商品で、病人や未成年、妊産婦や授乳中の女性は対象外であることに注意を促す。「特定の食品に頼って、ちゃんとした医療を受けないのはとても危険」と強調した。

 錠剤やカプセルなど薬と似た形状の商品は、食味による満足感や満腹感を得にくいため成分を取り過ぎる恐れがある。表示で摂取の適量をよく確かめるよう勧める。

▽免罪符にしない
 食べ物と健康の関係に詳しい佐々木敏東京大教授(社会予防疫学)は「トクホも含め、機能性を表示した食品に期待される効果のほとんどは高血圧や高血糖など生活習慣病に関するものだが、そうした病気の原因は一つではない」と話す。例えば血圧が上がるのには塩分の取り過ぎや肥満、過度の飲酒など、幾つもの原因がある。一つの食品だけで改善することはあり得ないというのだ。

 塩分を控えたり、野菜をたくさん食べたり、適度に運動をしたりすることが体に良いことは、誰もが知っている。しかも、それらの効果は長年の研究の積み重ねで既に科学的に確かめられている。まだ研究が不十分で、効果があるかどうか必ずしもはっきりしていない目新しい食べ物に頼り、それを免罪符にして、やるべき事を忘れてしまうのは本末転倒だと佐々木さんは指摘する。「むしろ、そうした食品に手を伸ばしたことをきっかけに、生活と食習慣全体を見直してほしい」と訴えている。
(共同通信 由藤庸二郎)

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