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乾癬治療は自己管理も大切薬の進歩生かすために肥満、メタボは大敵 

2016.2.2 9:29
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 皮膚が炎症で盛り上がり、表面がぼろぼろはがれ落ちる「乾癬(かんせん)」は、命に関わることはないが根治が難しい病気だ。詳しい原因は分かっていないが、炎症のメカニズムに働く新しい薬の開発で治療の選択肢が広がり、根気よく治療すれば良好な皮膚の状態を取り戻せるケースが増えた。専門家は、進歩した薬剤の効果を生かすには、食事や生活を改善することも大切だと指摘している。

▽生活の質が悪化
 大槻マミ太郎自治医大教授(皮膚科学)によると、乾癬の典型的な症状では皮膚が分厚くなり、表皮の細胞が生まれてからはがれ落ちるまでの周期が5分の1以下に短くなる。皮膚は表面が白く乾いてはがれ落ち、外見に病気の特徴が目立つため患者の多くは外出を控えたり、温泉や運動施設を避けるようになったりする。

乾癬治療は自己管理も大切薬の進歩生かすために肥満、メタボは大敵
 2014年に世界保健機関(WHO)が「乾癬は伝染しない」との総会決議を採択したのも、見た目から「うつるのではないか」という誤解を受けやすいからだ。患者の生活の質を心身にわたって悪化させ、引きこもりやうつ病につながることも多いという。

▽新しい選択肢
 皮膚症状が中心の「尋常性乾癬」は、患者の9割を占める。これには、以前からの治療法が大きく分けて三つある。

 初期には、患部に免疫抑制剤やビタミンD3を塗る「外用療法」がまず選ばれる。患部が広いと薬は塗りにくく、塗るのに時間もかかるので患者の負担は大きい。患部に紫外線を当てる「光線療法」は、乾癬に関係するさまざまな細胞の状態を改善することが知られている。

 これらで効果が見られなければ「内服療法」に進む。外用薬や光線が効かない「関節症性乾癬」を合併する人は、この内服療法から始める。炎症を起こす免疫を抑える薬が中心だ。

 これらの治療で改善しない難治性乾癬の治療に向けて開発されたのが、新しい仕組みの「生物学的製剤」。皮膚で症状を起こす特定の物質を標的として、その働きを止める注射薬だ。

 日本では10年から使えるようになった。計4種類の薬が保険適用されたほか、新薬の研究開発も進んでいる。これまでの治療法のどれを使ってもうまくいかなかった患者にこの薬が劇的に効いて、長年苦しんだ症状が消えた例もあるという。

乾癬治療は自己管理も大切薬の進歩生かすために肥満、メタボは大敵
▽減量だけでも
 大久保ゆかり東京医大教授(皮膚科学)は、生物学的製剤の特長を「即効性、持続性があること」と説明する。内服薬に比べて臓器障害の副作用が起こりにくいのも利点だと評価する。

 長期的な効果や副作用などの治療成績がまとまるのはこれからで、費用も高額だが、大久保さんは「注射1、2回で改善することもある。症状が出ない状態が続くようにもなった」と話す。患者からは「普通に外出できる」「仕事や勉強に集中できる」と喜びの声が聞かれるという。

 大久保さんは「そこで大切なのは体重の管理。特に食生活と運動だ」と強調した。

 乾癬はメタボリック症候群と合併する率が高く、糖尿病の人にも多い。肥満度と病気の重症度に関係があることも研究で確かめられている。太って増えた脂肪細胞から、炎症を起こす物質がより多く生み出されるのが原因らしい。

 大久保さんは「減量しただけで症状が落ち着く人もいる。やせることで生物学的製剤の効きが良くなる傾向も見られる。皮膚の良い状態を保つためにも、自己管理に努めてほしい」と話している。
(共同通信 由藤庸二郎)

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