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医療新世紀

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きょうだいの心を支えよう小児がん もう一つの課題「守る会」が指針作り

2016.5.17 9:35
きょうだいの心を支えよう小児がん もう一つの課題「守る会」が指針作り
 親に甘えたいのに我慢を強いられたり、自分のことを見てもらえないと孤立感を覚えたり。小児がん患者のきょうだいが抱く気持ちを周囲が理解し、寄り添ってほしいと、親らでつくる「がんの子どもを守る会」(東京)が、きょうだい支援のガイドライン(指針)作りに取り組んでいる。

 きょうだいの心をどう支えるかは、医療現場にとって患者本人への支援と共に重要な課題だが、これまであまり注目されてこなかった。守る会は指針を年内に完成させ、全国の病院や学校に配布する予定だ。

▽心境は複雑
 作成委員会は小児科の医師や専門看護師、教諭、保育士、ソーシャルワーカー、小児がん経験者、きょうだい本人と幅広い立場の委員で構成。昨年11月に甲府市で開かれたシンポジウムでは「きょうだいに関わる全ての人が自分のこととして捉えられる内容に」といった方向性も示された。

 親はずっと病室にいて、自分は待合室で独りぼっち。楽しみにしていた家族旅行は中止され、親戚の家に預けられる。「どうして」「嫌だ」と思っても口に出せない―。

 がんの子の治療を中心に家族の生活が回っていく中、きょうだいが感じる寂しさや悲しさ、怒り、時には「親を独り占めにしてずるい」という嫉妬。一方で治るのかどうか心配し、両親の大変さを思いやる気持ちもあって、心境は複雑だ。

きょうだいの心を支えよう小児がん もう一つの課題「守る会」が指針作り
▽大事な存在
 「きょうだいも親にとって大事な存在。それを実感できるようにしてあげることが大切」。作成委の中心メンバーで聖路加国際病院小児科の小沢美和医師はそう話す。

 日ごろの取り組みを通じ「特別なことは必要ないし、難しくもない」と感じている。

 きょうだいが病院に来た時に「○○君のお兄ちゃん、お姉ちゃん」ではなく、その子の名前で呼び掛けるといったちょっとした気遣い。家族がどういう事態に直面しているのか理解するのに必要な情報が、きょうだいにも伝わるよう親にアドバイスすること。

 「あなたが元気に学校に行って友達と遊ぶことでご両親はうれしいし、感謝していると思うよ」と直接言うこともある。

 15年ほど前から、きょうだいを孤立させない取り組みの必要性を訴えてきた小沢医師。今は病院内の活動も充実し、春休みや夏休みにはきょうだいが主役になれるイベントも。「実験教室」や「病院探検」は人気のプログラムだ。

きょうだいの心を支えよう小児がん もう一つの課題「守る会」が指針作り
▽「自分のせい」
 守る会は2001年から、きょうだいが集まるキャンプを夏に開催。富士山に登り、夜は花火をして盛り上がる。まさに闘病中の子のきょうだいや、もう克服した子、亡くなってしまった子のきょうだいも参加する。

 最初は緊張した面持ちでも次第に打ち解け、一緒に遊んだり、話をしたり。「来て良かった」「自分にとって大事な場」。守る会のソーシャルワーカー、樋口明子さんにはそんな声が届く。

 「弟が病気になったのは私のせい」「あんなこと言ったからお姉ちゃんが死んじゃった」。きょうだいは誰でも一度はそんなことを考え、自分を責めるという。「『私は悪い子』との思いを簡単には変えられなくても、集まりを通じ、そういう気持ちを抱くのは自分一人じゃないと分かる」と樋口さん。

 医師や看護師、学校や塾の先生、野球チームの監督、誰でもいいからその子のことを見て、話をしてあげてほしいと願う。指針を「周りの大人が『自分にできることは?』と考えるきっかけにしたい」と語った。
(共同通信 若林久展)

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