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医療新世紀

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広がる栄養ケア拠点地域で支える高齢者の食気軽に相談、活用を

2016.6.14 9:26
 高齢者の病気は「治療より予防」という意識の高まりを受け、日本栄養士会(東京)は食と栄養についての相談拠点「栄養ケア・ステーション」を全国に拡大している。高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けるのを支える「地域包括ケア」の一翼として、行政のほか医療関係者とも連携し、気軽に相談できる窓口づくりを目指す。

広がる栄養ケア拠点地域で支える高齢者の食気軽に相談、活用を
▽サロンのよう
 埼玉県和光市の西大和団地は高齢化率38%と、市内有数の高齢者が多い地区。その商店街の一角へ、午前10時にシャッターが開くのを待ちかねた高齢者が集まってくる。「まちかど健康相談室」は、年間約4千人が利用する栄養ケア・ステーションだ。

 高齢者らは、スタッフやほかの訪問者とお茶を挟んで談笑を始める。一見サロンのようだがスタッフは管理栄養士、保健師、看護師らで、会話の中から訪問者の体調の変化を察知し、血圧測定も勧めて、結果を記録していく。食生活や体調に気掛かりなことがないか、耳を傾ける。

▽「気が晴れる」
 相談室は、和光市が独自に進める「長寿あんしんプラン」に基づく事業で、市内のNPO法人「ぽけっとステーション」に委託して運営している。壁には料理教室などイベントの案内、囲碁や散歩など趣味の集まりの掲示がある。法人代表の管理栄養士でケアマネジャーでもある山口はるみさんは「閉じこもりがちで、相談室でしか他人と話さないという方もいる。とにかく来てもらうことが大切」と話す。高齢者宅を訪問する地域包括支援センターのスタッフとも連絡を取り合う。

 談笑の輪の中にいた三輪明徳さん(81)は料理教室がきっかけで通うようになった。食べ物の塩分量を実際の食塩で見せられたのが印象に残ったという。「朝食で野菜やチーズを補い、塩分にとても気を使うようになった」と話す。

 中島とみさんもこの団地住まい。「ここで教わった、キャベツに缶詰の魚を載せて電子レンジにかける料理を作ってみた。食材を無駄にすることが減った」と喜ぶ。「料理以外の悩みにも答えてもらえて、来ると気が晴れるの」と話した。この日は「ご飯を炊いてみたい」という男性も土鍋持参で訪れた。相談室に来てから料理に興味津々で、アジフライやごま豆腐にも挑戦したという。

広がる栄養ケア拠点地域で支える高齢者の食気軽に相談、活用を
▽すべての市町村に
 日本栄養士会の下浦佳之常務理事によると、各地の栄養士会は現場のステーション設置の申請を受けて業務内容を確認の上、認定する。現場のステーションから栄養指導や料理教室、介護予防教室、市民講座などの要請があれば、適した栄養士を紹介、派遣する。

 地域での栄養指導の場は以前からあったが、病院や学校内での対応や1回だけのイベントがほとんどだった。2008年のスタート当初、各都道府県に1カ所だったステーションは現在、街の診療所や薬局、コンビニなどからの申請を受け、全国で300カ所以上に増えた。今後、全市町村に1カ所以上の設置が目標だという。

 日本栄養士会栄養ケア・ステーション事業部長を務める田中弥生駒沢女子大教授(臨床栄養学)は「高齢者に限らず、妊婦のおなかにいるときから、口から食べられる最後の瞬間まで、科学的根拠に基づいて指導するのが管理栄養士。年齢や筋肉量、体の状態、味付けも考えて指導します。できるだけ多くの人に利用してほしい」と話した。

 栄養ケア・ステーションの場所や事業内容についての問い合わせは、都道府県の栄養士会か日本栄養士会、電話03(5425)6555まで。
(共同通信 由藤庸二郎)

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