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乳房タイプ知らせる施設もマンモ検査向かない人に学会、対応を検討へ 

2016.7.12 9:37
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 あなたの乳房タイプは?と聞かれてピンとくる女性は少数派だろう。国が40歳以上の女性に2年に1回の受診を推奨するマンモグラフィー(乳房エックス線撮影)の乳がん検診を受けていても、知る機会は少ないからだ。最近、そのタイプを本人に伝える医療機関が出てきた。マンモの弱点を含め、検査結果を理解してもらうためだという。

乳房タイプ知らせる施設もマンモ検査向かない人に学会、対応を検討へ
▽異常見えにくい
 「乳腺濃度を知りましょう」「あなたの乳房の構成分類は『高濃度』と推定されました」
 広島市の県立広島病院は昨年秋から、マンモの受診者にこんな説明文書を渡している。撮影画像データから乳腺濃度を推定するソフトを放射線技師の斉藤浩征さんが開発。文書は、乳がん検診に詳しい医師らでつくるNPO法人乳がん画像診断ネットワーク(東京)の協力を得て作った。

 乳房のタイプは乳腺の濃度が高い方から「高濃度」「不均一高濃度」「乳腺散在」「脂肪性」の4段階に分けられる。マンモはしこりになる前の小さな乳がんを見つける能力が高く、欧米で死亡率低下を実現したと評価される検査だが、乳腺もがんも白く写るため、高濃度乳房だと異常が見つけにくい弱点がある。

 通常は年齢とともに乳腺が脂肪に置き換わるが、高齢でも高濃度な人はおり、日本人は欧米人より高濃度の割合が高い。しかし、国の乳がん検診指針では、本人に知らせるのは「要精密検査」か異常なしという結果のみ。乳房タイプの通知までは求められていない。

▽超音波にも課題
 同病院は、一般検診でなく主に精密検査を担うが「乳腺濃度は重要な情報で、きちんと提供したいと考えた。一般検診施設でも可能だと思う」と松浦一生乳腺外科部長。

 米国では患者団体の主導で、高濃度の受診者にそれを知らせるよう義務付ける法律が全50州のうち20余州でできている。

 ただ悩ましいのは、マンモの次に行える、確実かつ費用も手ごろな検診方法が未確立なことだ。

 期待が大きいのは超音波検査。国内では40代の約7万人が対象の大規模研究で、マンモに超音波を併用すると乳がん発見率が1・5倍になることが昨年明らかになった。

 しかしがん検診は、死亡率の低下が証明できて初めて有効と評価される。その結論を得るにはさらに10年以上の追跡が必要。超音波は、がんでない変化も検出して確認検査が多くなりがちという不利益や、検査者の技量に左右されやすいなどの課題も指摘される。

 こうしたことから松浦さんは「現時点では『超音波を追加する選択肢もある』との情報提供にとどめています」と言う。

▽本人が決めたい
 専門家の中には、決定打がない状況で高濃度であることを伝えても不安にさせるだけではという消極的な意見もある。しかし、乳がんの経験を基に執筆や患者会活動を行う医療ジャーナリストの増田美加さん(54)は「まず自分のタイプを知ることが不可欠だ。不利益も踏まえた上で超音波を受けるか受けないかは、現時点では受診者に決めさせてほしい」と話す。

 日本乳癌学会の患者向けガイドライン作成小委員長の大住省三・四国がんセンターがん診断・治療開発部長も「高濃度がマンモの弱点であることは一般にも知られてきた。専門家団体が何らかの意思表示をすべき時期だ」と指摘する。

 超音波併用の大規模研究を率い、日本乳癌検診学会の理事長でもある大内憲明東北大教授は「高濃度乳房への対応のために始めた研究であり、超音波の有効性の検証は今後も続ける。一方で、高濃度の人に結果をどう伝えるか、伝えた後の受け皿をどうすべきかについて、関係学会と協力し検討を進める」と話している。
(共同通信 吉本明美)

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