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帯状疱疹、早めの対処を高齢化で増加確実ワクチン定期接種を検討 

2017.6.13 19:12
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 赤くて痛い発疹で知られる帯状疱疹は、高齢化で増加が確実視されている。昨年、予防ワクチンが承認されたのを受け、国は成人の定期接種の対象にするかの検討を始めた。この病気について今どんなことを知っておくべきか。専門家らに取材した。
帯状疱疹、早めの対処を高齢化で増加確実ワクチン定期接種を検討
 ▽まさか自分が

 東京の会社員A子さん(54)は2年前、額の右側に痛がゆい水ぶくれが複数でき「虫刺されかな」と皮膚科を訪ねた。だが診断は帯状疱疹。抗ウイルス薬の服用と塗り薬を1週間ほど続け、痕も残らず治ったが「もっと年配の人の病気と思っていた。まさか自分がと驚きました」と振り返る。

 ぴりぴり、ちくちくする痛みが続き、その後、頭部や腹部など、体の左右どちらかだけに赤い帯状の発疹ができる。これが典型的な帯状疱疹。80歳までに3人に1人が経験するといわれるが、症状は個人差が大きい。

 原因は水痘・帯状疱疹ウイルス。水痘とは水ぼうそうのことで、感染すると水ぼうそうとして発症するが、それが治った後、ウイルスは神経節に潜んで休眠状態になる。
 その後加齢やストレス、疲労などで「細胞性免疫」と呼ばれる免疫力が低下すると、潜伏ウイルスが再活性化し、帯状疱疹として現れる。全国統計はないが、香川県の小豆島で2012年までに行われた大規模疫学調査によると、50歳以上で年間100人に1人余りが発症すると分かった。

 ▽細胞性免疫

 この研究に携わった浅田秀夫・奈良県立医大教授(皮膚科)によると、帯状疱疹のリスクがある水痘の既感染者は成人の9割を超す。細胞性免疫は50歳ごろから加齢とともに低下するため、「高齢化が進めば患者はますます増加する」という。
帯状疱疹、早めの対処を高齢化で増加確実ワクチン定期接種を検討

 帯状疱疹で厄介なのは、発疹は治っても神経の損傷が残るために起こる帯状疱疹後神経痛(PHN)が少なくないことだ。浅田さんらの研究で、細胞性免疫が低下するとPHNになりやすく、症状も重いと分かった。

 日本で今後、帯状疱疹が増えると予想される背景にはもう一つ要因がある。14年10月から子どもの水痘ワクチンが定期接種になり、それまで毎年約100万人発生していた患者が激減したのだ。

 子どもで水痘が流行していると、既感染の成人の免疫が刺激され帯状疱疹の発症が抑えられる―という有力な仮説がある。実際、国内や海外の一部研究で、水痘の患者が多い時期は帯状疱疹が少ないと報告されている。
帯状疱疹、早めの対処を高齢化で増加確実ワクチン定期接種を検討

 これが全国的な傾向なら、高齢化と相まって帯状疱疹はさらに増えるはず。既にその兆候はあるとみる医師もいるが、感染症が専門の岡部信彦・川崎市健康安全研究所長は「長期的には十分考えられるが今はまだ、そのために増えているとは言えないのではないか」と話す。

 ▽受診遅れで悪化

 帯状疱疹の治療は抗ウイルス薬の登場で大きく進歩したが、早期の治療開始が不可欠。発疹が出て3日以内の服用が望ましいとされるが、様子を見ていて受診が遅れ、悪化するケースも多い。そこで「ワクチンで予防」という考えが出てくる。


 水痘ワクチンは昨年3月「50歳以上の帯状疱疹予防」の効能が追加されたが、接種費用は自己負担。米国で販売されている同等のワクチンでは、接種後少なくとも3年までは帯状疱疹を半減させたとのデータがある。効果の持続期間や、年齢による効果の違いなどが、定期接種導入への検討ポイントとなりそうだ。

 帯状疱疹に詳しい東京慈恵会医大の本田まりこ客員教授(皮膚科)は「頻度は少なくても重症な例を診てきた立場からは、早期受診と併せワクチンの重要性を強調したい。誰もがかかり得る病気なので、ぜひ関心を持ってほしい」と話す。
(共同通信 吉本明美)

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