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どうする薬局の外国人対応正しい服薬、支援へツール開発、対策急ぐ 

2017.10.3 22:51
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 訪日外国人は2013年に初めて1千万人を超えて16年には2400万人に達し、東京五輪・パラリンピックに向け、さらに増える見込みだ。医療機関と並んで、調剤薬局での外国人対応をどうするのか。各地の薬局や製薬業界ではさまざまなツールを開発し、正しい服薬を支援する取り組みを急いでいる。
どうする薬局の外国人対応正しい服薬、支援へツール開発、対策急ぐ

 ▽実用英語で対応

 東京都千代田区のアイン薬局大手町店は、同じビルに外国人ビジネスマンや観光客がよく利用するクリニックがあり、1日6、7人が訪れることも珍しくない。運営会社「アインファーマシーズ」(札幌市)は、実用英語の試験で一定の点数を取った人を配置している。

 薬局長の三田寺美穂さんによると、処方については診察した医師が一定の説明をするが、正しく服薬してもらうには薬局での丁寧な説明も欠かせない。外国人向けの薬袋と説明書を用意し、日本人と同様に食後・食間などの飲むタイミングや、服用する期間、吸入薬では器具の使い方などを口頭で説明する。外国人は、聞いた内容をメモする人が多いという。

 文化や制度の違いも大きく、三田寺さんは「米国では粉薬を飲む習慣がないらしく、水に溶かすのかと聞かれたりします」と話す。英語以外の対応では、医療専門の電話翻訳サービスとも契約し、万全を期している。

 ▽指さし会話帳

 東京都江東区の「のぞみ薬局」の周辺には、ビジネスで日本に渡航したインド人、ネパール人らが家族で多数住んでいる。近所に小児科があり、日本語会話が難しい母親が訪れるケースもある。

 同店の薬剤師広瀬明香さんは、外国旅行で愛用した「旅の指さし会話帳」シリーズ(情報センター出版局)にヒントを得た、薬局向け会話帳を作った。例えば受付用では「日本語を話せますか?」に始まり、保険証やお薬手帳を持っているかなどが、イラストとともに日本語と英語で記されている。指でさして順に答えてもらえば、必要な情報がやりとりできる。

 同店をはじめ関東に22店を経営する「フォーラル」(江東区)の雨宮淑子シニアマネジャーは「服薬に間違いがあってはならない。外国人でも安全、安心が大事」と話す。今後、社内で英会話教室を開くなど外国人対策を拡充。管理栄養士による栄養指導などにも会話帳を導入したい考えだ。

 ▽英語版「しおり」

 製薬会社などでつくる一般社団法人「くすりの適正使用協議会」によると、薬剤師が薬の効用・効能や服用方法、副作用などをより詳しく利用者に説明する際は、製薬会社が作成、配布する「くすりのしおり」が資料となる。外国人からは英訳したしおり自体が欲しいとの要望も多い。

 しかし、10年に英語版が用意されていたのは日本語版しおりの1割弱。最低限、英語版さえあれば、他言語への翻訳もしやすいのだが、資料不足は明らかだった。

 危機感を抱いた協議会は、用語の定訳や記入方法をガイドラインにまとめて製薬各社へ英語版作成を強く働きかけた結果、現在は約1万5600の日本語版のうち約6700が英訳されたが、それでも4割強だ。

 協議会の栗原理・くすりのしおりコンコーダンス委員長は「20年の五輪までにせめて1万に拡大したい」と話す。英語版のしおりは、日本語版と併せて協議会のウェブサイトで公開しており、現場での活用のほか、薬を持って海外渡航する日本人にも利用してほしいとしている。

 協議会は、薬局での具体的な対応をまとめたコミュニケーションマニュアルも作成中。近く少数の薬局でテストを始め、できるだけ早い完成を目指す。

(共同通信 由藤庸二郎)


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