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治療の基本改めて確認を アトピー、最近注目の話題

2018.7.10 0:00
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 皮膚にかゆい湿疹ができ、炎症を繰り返すアトピー性皮膚炎。症状をコントロールする標準的な治療法が普及し、近年は「ぶり返しを防ぎ、良い状態をいかに長く保つか」が重視されている。治療の基本をおさらいした上で、新薬の登場や食物アレルギー予防に関する注目の研究など、最近の話題を紹介する。

 
 

 ▽45万6千人

 厚生労働省の2014年患者調査によると、アトピーの推定患者数は45万6千人。1~4歳の幼児が最も多いが、20~40代の成人もかなりいる。

 アトピーになると皮膚が乾燥してバリアー機能が低下し、アレルギーの原因物質や刺激が侵入しやすくなる。そうして起きた炎症でかゆくなった所をかくと皮膚バリアーはさらに壊れ、炎症が悪化する悪循環に陥る。

 治療の基本はバリアー機能改善のための「清潔・保湿」と、炎症を抑える2種類の塗り薬。5段階の強さがあるステロイド剤と、タクロリムス軟こう(免疫抑制剤)だ。

 日本皮膚科学会などで診療指針の策定に携わる佐伯秀久・日本医大教授によると「最初に強めのステロイドを使って素早く炎症を抑えた後、よりランクの低いステロイドから保湿のみへ切り替えていくのが治療のこつ」。

 大火事を消すには大量の水が要るように、初期に十分量のステロイドを塗るのが大切だが「実際には薬が不十分で症状を長引かせてしまう人が少なくない」という。

 「薬を塗った後の皮膚にティッシュを押し付けても落ちないくらい」などと表現される使用量の目安をきちんと守ろう。

 正しい治療で症状は落ち着くが、アトピーは再発が多い。それを防ぐために「プロアクティブ療法」が推奨されている。湿疹が消えても炎症の“種火”は残ると考え、例えば1週間に2回などと間隔を置いて塗り薬を続ける。再発がないのを確かめつつ間隔を延ばし、最後は保湿剤にする。

 「このやり方の方が、ステロイドの総量が少なく治療期間も短いことが臨床研究で分かってきた」と佐伯さんは話す。

 
 

 ▽違う仕組み

 標準治療で8~9割の患者の症状は落ち着くが、難治性の人もいる。

 既存の治療では効果が不十分な成人患者を対象に、新しい注射薬「デュピルマブ(商品名デュピクセント)」が今年承認された。炎症に関わる特定のタンパク質の働きを抑える「生物学的製剤」と呼ばれる薬で、原則として塗り薬と併用する。

 佐伯さんは「既存薬とは違う仕組みで働く点で効果が期待されるが、治療の基本が塗り薬であることは変わらない。増えた選択肢をうまく活用していければ」と話す。

 ▽別の発症防ぐか

 乳児のアトピー性皮膚炎については、食物アレルギーに関わる興味深い現象が見えてきた。アトピーで傷ついた皮膚から卵が体内に入ると、後で卵を食べた時にアレルギーを起こすというのだ。「まだ仮説だが、支持する研究結果が内外で出ている」と斎藤博久・国立成育医療研究センター研究所長補佐は解説する。

 同センターも複数の研究を発表している。生後2カ月までにアトピーを発症した子はそうでない子に比べ、3歳時点で食物アレルギーであるリスクが6倍高い。アトピー治療後の乳児を2群に分け追跡した別の研究では、離乳食で少量の卵を食べさせた群の方が、食べさせない群より食物アレルギーが少なかった。

 では、アトピーを積極的に治療し皮膚を健全に保つことで、食物アレルギーを予防できないか。それを検証しようと同センターは昨年、生後4カ月までにアトピーになった子の研究を始めた。「有効と証明されれば世界の赤ちゃんに役立つ。結果に注目してほしい」と斎藤さんは話している。

(共同通信 吉本明美)

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