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正しく使おう入れ歯安定剤 適量守りきれいに除去を 

2018.8.21 11:00
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 義歯(入れ歯)がぐらついたり、浮いたりすると頼りたくなるのが入れ歯安定剤だ。だが、不適切に使うとかえって健康を損なう恐れがあると専門家は指摘する。合わない入れ歯はまず歯科で調整してもらうのが原則。業界団体も、添付文書の使い方を守り、使い終えたらその都度、口中と入れ歯からきれいに取り除くよう呼び掛けている。

 
 

 ▽取り残し

 入れ歯安定剤は毎年約120億円を売り上げる人気商品。シートタイプ、粉末タイプもあるが、隙間を埋めるクッションタイプ、粘着性のクリームタイプというチューブ入り製品がシェアの大半を占める。ただ、これらは歯科医療、介護の現場で「清掃に苦労する」と評判が良くない。

 高齢者が多く通う愛知県大府市の国立長寿医療研究センター。歯科衛生士によると、口中や入れ歯に取り残しの安定剤がこびりついているケースがある。ブラシで取れないと指にガーゼを巻き付けてこすり取る。無理をすれば粘膜を傷つけかねず、患者自身が「もういい」と諦める例もある。

 同センターの角保徳・歯科口腔先進医療開発センター長は「入れ歯は本来、そのまま使うものです」と話す。

 入れ歯は残った歯や歯茎、顎の骨の状態などに厳密に合わせる。不適切に安定剤を使えば、均等に力が加わらずに顎の骨が痩せ、入れ歯を支えられなくなる懸念もある。日本補綴(ほてつ)歯科学会ガイドラインでも、安定剤は歯科医の管理下で、短期間の使用が好ましいとされている。

 ▽切実なニーズ

 角さんは「唾液が減って口が乾く“ドライマウス”だと、より深刻な問題がある」と指摘する。

 
 

 クリームタイプの安定剤は水分を吸収して接着するため、唾液が少ないと効果が下がる心配がある。ドライマウスでは取り残しに細菌が繁殖しやすく、誤嚥(ごえん)性肺炎などの原因にもなり得る。入れ歯を補修しても痛みや違和感が改善しにくい。

 角さんは、ドライマウスでも使いやすく、洗いやすい安定剤を日本歯科薬品(山口県下関市)と共同開発。この「ピタッと快適ジェル」は、受診を促すため歯科医院だけで販売する方針だ。

 ただ、安定剤を利用する側にも「痛み」「違和感」「緩み」など、使いたい強い動機がある。

 「食べ物をしっかりかみたい」は当然として「歯が浮くと顔つきが変わってしまう」「口元を気にせず会話したい」「カラオケで歌いたい」…。生活の質に関するニーズは多様で、使いやすさを求める声は切実だ。

 歯科医は「義歯は歯磨きと同様に毎食後、外してきれいに」と指導し、口の清潔を最重視する。一方、安定剤はそれより長く使うことが前提となっている。利用者はどうしたらいいのか。

 ▽補修で改善を

 歯科医、メーカーの一致する原則がある。「入れ歯を直すのが最優先」ということだ。

 メーカーでつくる義歯安定剤連絡会が作成したハンドブックは「安定剤は一時的に入れ歯を安定させる、または、生活の質を上げるもの」「歯科で定期的な健診、メンテナンスを」と強調する。

 添付文書をよく読み、(1)装着前に入れ歯をよく洗う(2)決められた量を付ける(3)取り外したら入れ歯、口中から除去する―が基本。利用者の「気持ち悪い」との相談の多くは「付け過ぎ」で安定剤がはみ出すのが原因だ。連絡会は「安定剤の有用性とともに、こうした正しい使い方の啓発に、業界で継続的に取り組みたい」とコメントした。

 角さんは「安定剤を使う気持ちは分かるが、半年に1回は受診を。ずれが小さければ、少しの補修で驚くほど改善する場合もある」と話している。

(共同通信 由藤庸二郎)



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