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固定費削減と公支援活用が鍵 専門家に聞くがんとお金

2018.7.3 11:00
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 医療が進歩し、がん患者の生存率は向上している。がんが増える60歳すぎまで仕事を続ける人も増える中、医療費やそれ以外の出費にどう備えればいいか。「少なくともこれだけは」というお金の考え方の基本を、自身も乳がん経験者で、多くの患者の経済的な相談に乗ってきたファイナンシャルプランナー黒田尚子さん(49)らに聞いた。

 
 

 ▽減らしどころ

 40歳で右乳房を全摘し、再建手術を受けた黒田さん。就労世代の家計へのがんの影響は、ずばり「収入減と支出増」だという。当たり前のようだが「診断後に家計の収入や支出がどう変化するか、具体的にイメージするのは難しい」と話す。

 例えば夫ががんになり、治療や体調不良で仕事を休むとまず夫の収入が減るが、共働きだと、看護などで妻の収入まで減る。一方、支出は治療費に加えて交通費、家事・育児サービスや外食なども意外にかさむ。

 対策は単純明快。「収入を増やして支出を減らす。それだけです」
 支出には「減らしどころ」があるという。効果が高いのは、住宅ローンや家賃、教育費、生命保険料など毎月出ていく「固定費」の削減だ。「例えば住宅ローンなら月々の返済を減らし、期間を延ばす見直しが有効。総返済額は増えますが、まずは金融機関に相談を」

 ▽制度洗い出し

 収入増には、仕事を安易に辞めずに家族の働き手を増やす―などに加え、公的な支援制度の徹底活用が鍵になる。使える制度の洗い出しが重要だが「公的医療保険、雇用保険、年金、所得税など幾つもあり、適用を受けるには申請が必要。担当窓口もばらばらです」。

 大半のがん患者が利用する「高額療養費制度」は、支払う医療費が限度額を超えると払い戻される仕組みで、加入している公的医療保険の窓口が相談先。休職中の収入を補う「傷病手当金」は、基本的に会社員が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)、健康保険組合などの制度で自営業者は対象外。加入先によって利用できる制度が異なるので要注意だ。

 相談先が分からない場合は、受診中の病院や、全国400余りのがん診療連携拠点病院にある「がん相談支援センター」に尋ねるといい。相談支援センターは、その病院で治療を受けていなくても無料で利用できる。

 
 

 インターネットを使えるなら、医療者や社会保険労務士、黒田さんもメンバーのNPO法人「がんと暮らしを考える会」のウェブサイト「がん制度ドック」が便利。がんの種類など22項目を入力すると、使える可能性がある公的制度を検索でき、申請先や方法も表示される。年間約2万5千人が利用している。

 ▽貯金を再評価

 民間保険は多くの人がお金の確保先として目を向ける。かつては一度がんになると保険加入はほぼ不可能だったが、近年は入れる商品も増えている。保険料が高い、保障が限定的などの課題があるため「給付水準が掛け金(コスト)に見合っているかよく検討して」と黒田さんは助言する。

 条件を満たさないと給付金が出ない民間保険に対し、貯金は全額自分のお金。「もっと見直されていい」と黒田さん。「生活費の半年~1年分の貯金があれば、慌てて保険に頼らなくても、公的制度や支出削減などで生活を立て直せる人が多い」という。

 ただ公的制度は頻繁に改正があり、使い方も変化している。がんと暮らしを考える会理事長の賢見卓也看護師(42)は「医療とお金について教わる機会がないため、発病後に制度を一から勉強せざるを得ない人がほとんどで、これはおかしい。公的制度について患者に知らせる仕組みを充実させるべきだ」と話す。

(共同通信 吉本明美)

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