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ひるまずに救命措置を 生死分ける最初の数分  身近で人が倒れたら

2018.6.5 11:00
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 大相撲巡業で地元市長があいさつ中に倒れた出来事では、土俵に上がってすぐに救命措置を始めた女性の対応にも注目が集まった。身近で人が倒れたらどうしたらいいのか。止まりかけた心臓に電気ショックを与える自動体外式除細動器(AED)の使い方などを、日本AED財団理事の武田聡・東京慈恵会医大教授(救急医学)に聞いた。

 
 国内で使われている自動体外式除細動器(AED)

 ▽救急車が着く前に

 ―そばにいる人の処置がなぜ求められるのか。

 救急車を待っていては間に合わないからだ。心停止後の救命率は1分間に10%ずつ下がり、5分後には50%。一方で、通報から救急車到着までの平均時間は約8分だ。最初の数分の行動が、生死を分ける。

 ―人が倒れたとき、まず何をしたらいいのか。

 肩をたたき、大きな声で呼び掛ける。返事、反応がなければすぐ119番通報する。そしてAEDを探してもらい、その間に呼吸を確認する。「呼吸がない」「正常ではない」「呼吸があるかどうか分からない」といういずれの場合も、直ちに「胸骨圧迫(心臓マッサージ)」を始める。何人かいれば手分けをする。

 ―胸を押すとかえって具合が悪くならないか。

 「押したことで命に関わるようなことは起きない」と研究で分かってきた。関連学会などでつくる日本蘇生協議会のガイドラインでも「心停止が分からなければ押していい」と付け加えた。土俵に駆け付けてすぐ胸骨圧迫を始めた、あの女性のやり方が正しい。

 胸骨圧迫は、胸の中央の骨に手のひらを重ねて当て、真上からしっかり押し、すぐ緩める。大人なら深さ5センチ程度、小児ならあおむけにして胸の高さの3分の1まで押す。テンポが大事で、1分間に100~120回が必要。童謡「うさぎとかめ」の「もしもしかめよ」の「も・も・か・よ」のタイミングで押す。

 
 

  ▽心臓も守る

 ―やるかどうか、迷いそうだ。

 心肺が動いていて胸骨圧迫が不要なら、胸を押す手を振り払おうとするなどの反応がある。そうしたらやめればいい。
 2011年に小学生が学校で亡くなったケースでは、呼吸があるように見えたため胸骨圧迫やAEDの処置が遅れた。分からなければ、ひるまずに押してほしい。

 ―押すことの意味は。

 倒れた人には、しゃくりあげる、途切れ途切れの「死戦期呼吸」が起こることがあるが、有効な呼吸ではない。目の前で倒れたのなら血液中に酸素が十分にあって、人工呼吸はしなくていい場合が多い。胸骨圧迫だけでも、血液を脳に送れれば脳の損傷を防げる。
 心臓突然死で最も多いのは、心臓がぴたっと止まるのではなく、心室細動というけいれんで血液が送れなくなる状態。AEDの電気ショックは、細動を止め、正常な心拍を取り戻すのに有効だ。

 ▽休まずに続ける

 ―AEDの使い方は。

 講習会で学ぶのが一番だが、知らなくても使える。装置が手順を音声で指示してくれるし、使い方の図解が入っている場合もある。パッドを体に装着すれば自動的に心拍を測り、除細動(電気ショック)が必要かを判断する。除細動のボタンを押す際は必ず患者の体から離れてください。
 救急隊が到着するか、倒れた人が体を動かすまでは、胸骨圧迫を休まずに続けることが大事だ。心臓の血流が増えて回復しやすくなる。とても疲れるので、2分程度で交代できれば一番いい。

 ―普及は進んだか。

 16年に病院外で心停止して、目撃者がいた人が2万4千人余りいたのに、除細動が行われたのは約1100人。普及啓発はこれからです。駅や学校、商業施設などにAEDは増えたので探してみてほしい。

(共同通信 由藤庸二郎)

 

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