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心不全患者も運動を 専門家の指導で安全に  退院後の継続策が課題

2018.6.12 11:00
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 以前は安静が常識とされた病気でも「適度な運動が有益」と判明するケースが増えてきた。心不全もその一例。運動の効果で末梢の循環が良くなると、弱った心臓の負担を減らせるという理屈だ。だが、こうした運動療法を提供する施設はまだ十分とは言えず、特に病院を離れた後の運動継続策が課題になっている。

 
 

 ▽ポンプ機能低下

 心不全とは、体に血液を巡らせる心臓のポンプ機能が落ち、息切れやむくみなどが発生した状態。心筋梗塞のような急性心疾患が原因となる場合のほか、高血圧で心臓に長年負担がかかった末に起こることもある。

 心不全患者は高齢化によって急増している。岡山大循環器内科の伊藤浩教授によると「2005年には約100万人だったが20年には120万人になると推計されている。高齢患者の割合が増え続けるのは確実で、地方都市では既にその傾向が出ている」という。

 埼玉県日高市の埼玉医大国際医療センターもその変化を経験中だ。心臓リハビリテーション科の牧田茂教授は「私たちがリハビリを担当する入院患者は5年ほど前から心不全が最多です」と話す。

 ▽再入院を防ぐ

 牧田さんの専門である心臓リハビリとは、安全な運動療法を柱に、患者の生活習慣の改善指導なども含む総合プログラム。健康保険も適用される。

 牧田さんによると、心不全患者の約3割は退院後1年以内に症状悪化で再入院するのが実態。だが「再入院は本人の努力でかなり減らせる」。

 特に効果的なのが運動療法だ。心筋梗塞については運動で再発が減るとのデータが早くから出ていたが、全身状態がより悪化した心不全についても、メリットを示す研究報告が2000年ごろから欧米で増加した。

 ただし素人判断は禁物。病状が安定し、専門家の指導で安全な運動量を決めることが絶対条件だ。

 
 つかまって安全に行うスクワットを見せるスタッフ。奥は牧田茂・埼玉医大教授

 ▽運動負荷試験

 運動の適量の見極めには「心肺運動負荷試験」を行う。患者にペダルこぎ運動をしてもらい、心電図や血圧、呼気中の酸素と二酸化炭素を測定し、心臓の負担にならず、かつ効果が上がる運動の強さを探る。それを基に無理なく続けられるメニューを「処方」する。

 運動習慣が全くない、ある70代の男性は、10日間の入院中に運動負荷試験やトレーニングを重ねて退院し「ウオーキングを中心に30~60分、週5回」という牧田さんらの指示を守って運動を続けた。日記に運動を記録し、外来通院時に定期的に運動負荷試験を受け少しずつ運動量を増やした結果、体力も向上した。

 ウオーキングもしんどいほど体力が落ちた患者には、運動に必要な筋肉をつける筋トレの指導から入る。スクワット、かかと上げ、腹筋、腕立て伏せなどだが、机や壁につかまってできる安全で軽いものから始める。

 心臓リハビリを提供する医療施設は昨年時点で全国に1200余りとみられる。運動療法を指導できる専門家として、日本心臓リハビリテーション学会が認定した指導士の資格を持つ医師や理学療法士らが全国に約4700人いるが「心不全患者の増加を考えると十分ではない」と牧田さん。

 外来通院患者には対応していない施設もあるほか、保険適用は入院中を含め5カ月で、以降のリハビリは自費になるため、運動を続けやすい環境や動機付けも課題だ。

 心臓リハビリに詳しい医師らでつくるNPO法人「ジャパンハートクラブ」が地域でのリハビリ機会を提供しているが、熱心な専門家がいる場所に限られる。法人副理事長の伊東春樹・榊原記念病院顧問は「心臓リハビリは継続こそが大切。本来は全国どこでも受けられる体制が望ましい」と話している。

(共同通信 吉本明美)

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