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食事改善し血糖管理を 妊娠糖尿病と言われたら  母体・胎児ともに影響

2018.6.19 11:00
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 妊娠中の検査で女性が「妊娠糖尿病」と診断されることがある。妊娠して初めて発見、診断された、糖尿病には至らない糖代謝異常のことだ。糖尿病より血糖は低いものの、母体や胎児に影響する懸念がある。専門家は、妊娠中にしっかりと血糖をコントロールすることの大切さを強調している。

 ▽ホルモンの影響

 妊娠糖尿病は、妊娠判明後の血糖の検査などで、一定の基準を超えた場合に診断される。

 
 

 平松祐司・日本糖尿病・妊娠学会理事長(岡山大名誉教授)によると、日本の多施設共同研究で厳密に測定した結果、妊婦の12%に見つかった。現行の検査方法では7~9%、10万人程度が該当する。

 妊娠で血糖が上がるのは、胎盤などから分泌されるホルモンにより、血糖を抑えるインスリンの効きが悪くなるためだ。「糖尿病の血縁者がいる」「高齢」「肥満」などがあるとリスクが高いという。

 妊婦の血糖が高いと胎盤を通じて胎児に糖が過剰に運ばれ、巨大児や難産、帝王切開、新生児低血糖などのリスクが高まることが分かっている。平松さんは「出産までの厳格な血糖コントロールが大事。内科と産科、その他の医療職が連携して支える必要がある」と話す。

 ▽栄養バランス

 国立成育医療研究センター母性内科の荒田尚子医長によると、妊娠糖尿病と診断されると多くの女性がショックを受け、受け止めきれずに血糖測定を拒む人もいる。そんなときは、胎児に影響があること、血糖コントロールが可能なことを丁寧に説明すると、ほとんどの女性は治療に前向きになるという。

 治療の基本はまず食事療法、そしてインスリンの自己注射だ。荒田さんは「食事の“制限”と考えず、上手に栄養を取る方法を学ぶ機会と捉えて」と励ます。

 管理栄養士の鴨志田純子同センター副栄養管理室長は「真面目な女性ほど、ご飯を一切食べないなど極端な食事制限に走ることがある。必要な栄養が足りず、胎児の成長にも支障がある」と言う。食事の栄養バランスは、エネルギー(カロリー)換算で炭水化物が50~55%、タンパク質20%、脂質20~25%が目安だが、適切な摂取カロリーの総量と併せて専門家の指導を受けた方がいい。ご飯もしっかり食べるのが基本になる。

 
 

 妊婦にはそれまで料理をしていなかったり、不得意だったりする人もいる。鴨志田さんは食品サンプルでバランスの良い食事や1日に必要な野菜を見せ、望ましい組み合わせや量の目安を視覚的に知ってもらう方法も用いる。目標まで血糖が下がらない場合は、食事を6回に分ける「分食」などでさらに工夫する。

 数値が高かったり、管理が難しかったりすると薬が必要だ。血糖に応じて必要な量のインスリンを自分で注射する方法を学ぶ。インスリンが選ばれるのは、分子が大きく胎盤を通らないので、胎児に影響がないと分かっているからだ。

 ▽妊娠前と出産後

 平松さんは、妊娠中だけでなく、妊娠前と出産後の血糖管理が大切だと言う。「妊娠前に高血糖の治療をすれば、母体や胎児のリスクは健康な妊婦と変わらない。妊娠の予定があるなら自分の血糖を調べてもらい、高いと言われたら治療を受けた上で計画妊娠することが望ましい」とした。

 出産後はホルモンの関係でいったんは血糖が下がるものの、その後の糖尿病リスクは高い。妊娠糖尿病になった母親は5年で約20%、10年で約30%が糖尿病になるとの厚生労働省研究班の報告がある。定期的な受診、検査が勧められる。

(共同通信 由藤庸二郎)

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