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医療新世紀

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治った後こそ油断しないで なお残るがんのリスク  C型肝炎

2018.4.24 11:00

 国内の肝臓がんの原因の7割近くを占め、治療が難しかったC型肝炎は、効果が高く副作用の少ない飲み薬が近年登場し「治る病気」になった。だが肝炎が治っても、がんのリスクはゼロになるわけではない。特に患った年数が長い人は要注意。専門医は「定期受診を欠かさず早期発見できれば、がんになったとしても治療成績は良い。肝炎が治った後こそ油断しないで」と呼び掛ける。

C型肝炎ウイルス(国立感染症研究所提供)
 C型肝炎ウイルス(国立感染症研究所提供)

 ▽大きなインパクト

 血液で感染するC型肝炎ウイルス(HCV)は持続感染しやすく、安全対策導入前の輸血や医療行為などで感染した人の多くが慢性肝炎になった。

 1990年代に始まったインターフェロン治療の成績は徐々に向上したが、副作用などのため治療を受けられない人も多かった。しかし2014年以降、インターフェロンを使わず、短期間の治療で済む抗ウイルス薬が次々に登場し、体力のない高齢者も治療を受けられるようになった。

 広島大の田中純子教授(疫学・疾病制御学)が献血者の感染率などを基に推計したところ、国内には00年時点で170万~220万人のHCV感染者がいたが、11年には100万~150万人に減った。この11年間にC型肝炎が治った人は推定で20万~30万人。

 田中さんは「新登場の薬の多くは治癒率が90%を超え、たくさんの人が治療を受けることができた。11年以降治った人の数は推計中だが、過去の11年間の20万~30万人を上回る可能性がある」と、3年余りで急速に広まった新薬のインパクトの大きさを語る。

 ▽啓発が必要

 
 

 それも一因となり、患者団体のNPO法人「東京肝臓友の会」の会員は激減した。11年は約2700人だったが今は1500人ほど。

 米沢敦子(よねざわ・あつこ)事務局長(57)は「肝炎が治ったので退会します」と連絡が入るたび「おめでとうございます。でも、がんの用心のため通院は続けてください」と言ってきた。

 だが「せっかく治って喜んでいるのに」となじられたことや、「リスクを強調し過ぎると、そもそも肝炎の治療を受ける気をそいでしまうのでは」との心配もあり、がんのことはあまり強調しなくなったという。

 だが最近「ウイルスが消えた後にがんができました」「情報が欲しいので再入会したい」などの声がぽつりぽつりと寄せられる。聞くと、治った後に通院をやめてしまっていた人が何人もいた。

 肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれる。自覚症状が出た時にはがんはかなり進行している。米沢さんは「受診を続けていれば早期で見つけられたはず。『治った後』について、本格的な啓発が必要だと思いました」と話す。

泉並木院長
      泉並木院長

 ▽ハイリスク

 なぜ肝炎が治ってもがんのリスクがあるのか。治療経験が豊富な武蔵野赤十字病院(東京)の泉並木院長は「がんは線維化といって、炎症で硬くなった組織から多く発生する。治療でウイルスが消え炎症が止まっても、長い年月に蓄積した線維化はなかなか元に戻らないためです」と解説する。

 血液検査で血小板が15万未満と少ないと、線維化が進んでいる目安になる。60歳以上の人や、女性より男性のリスクが高いことが過去の研究で分かっている。肝炎が治った解放感や体調の良さから食べ過ぎ、飲み過ぎを重ねて肥満や脂肪肝になると、それらも肝臓がんのリスクを上げる。

 もっとも、肝炎が治った後にがんになる人は5年で推定数%程度。肝機能は良くなっているため、がんが早期に見つかれば治療成績は良い。泉さんは「リスクが高い人は3~4カ月に1回、そうでなくても半年に1回は受診して肝臓の超音波検査を受けてほしい」と話している。

(共同通信 吉本明美)

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