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医療新世紀

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早期なら腎臓残せる 選択肢増えた腎がん治療  納得いくまで説明求めて

2018.3.13 11:00

 がんの治療のためなら、二つある腎臓のうち一つを失うのはやむを得ない―。こうした考え方により、腎臓の摘出が基本とされてきた早期の腎がんの治療が、大きく変化している。

 がんと周囲の組織だけを切り取って腎臓は残す「部分切除」手術が主流になりつつあるのだ。ただ現在は過渡期で、全国どこでも同じ治療が受けられる状況ではない。腎がんに詳しい専門医は「治療法を選ぶには、主治医らに納得いくまで説明を聞いて判断することが大切」と話す。

 ▽増える小さいがん

 腎臓は長さ10~12センチのソラマメ形の臓器で、肋骨(ろっこつ)の下辺りに左右一つずつある。最大の役割は、血液から不要な成分をろ過して尿をつくること。

直径約3センチのがんができた腎臓のCT検査画像
直径約3センチのがんができた腎臓のCT検査画像(近藤恒徳教授提供)

 腎がんは、毎年新たに診断されるがんの2%程度と少ないものの、高齢化などの影響で患者は増えている。早期はほぼ無症状のため、だいぶ進行してから見つかる例が以前は多かったが、北海道大の篠原信雄教授(腎泌尿器外科)によると、画像診断が進歩し、近年は事情が大きく変わった。

約3センチほどのがんができた腎臓のCT検査画像(近藤恒徳氏提供)

 「中高年男性が検診などの際に受けた超音波検査で『腎臓の小さな影』を指摘され、エックス線CTで早期がんと確定診断される。これが典型例です」と篠原さん。診断される腎がんの4分の3は直径7センチ以下で転移がない早期がん。多くは直径4センチ以下だという。

 ▽生存率に差なし

腎がんの新規患者数
 

 腎がんの標準的な治療法は長く、がんができた腎臓を摘出する「腎全摘手術」だった。丸ごと取ってしまえば再発のリスクを最小限にできるはず―との考えに基づく。

 しかし1980年代の終わり、部分切除でも再発はそれほど増えないとのデータを米国のチームが発表したのをきっかけに、90年代以降、部分切除に取り組む医師が国内でも少しずつ増えていく。篠原さんのほか、東京女子医大東医療センターの近藤恒徳教授(泌尿器科)もそうした一人だ。

 近藤さんによると、部分切除にさらに関心が集まったのは2006年。この年、部分切除の方が全摘した場合より腎臓の働きが良いとのデータが発表された。その後、欧州で行われた臨床研究で、部分切除と腎全摘手術で、手術後の生存率に差がないとの結果が出た。「生存率以外のメリット・デメリットを総合的に比較して手術法を選ぶ時代になったということです」と近藤さんは説明する。

 4センチ以下の腎がんの手術後の5年生存率は9割を超すという。高い生存率は朗報だが、手術後の人生が延びれば、腎臓が別の病気になる可能性も増えるため「腎臓が二つあるメリットは大きい」と近藤さん。篠原さんも、小さい腫瘍では良性と悪性の事前診断が困難な例が10%程度あることを挙げ「手術後に良性と分かる場合もあることを考えると、部分切除に軍配が上がる」と言う。

 こうしたことから日本泌尿器科学会は17年版の腎がんの診療指針で、4センチ以下のがんの部分切除を「強い科学的根拠があり、行うよう強く勧められる」とした。

 ▽じっくり判断を

 一方、同じく早期でも直径4~7センチとやや大きめのがんの治療については、篠原さん、近藤さんとも「がんができた場所や患者の年齢、施設の経験などを踏まえて個別に判断すべきだ」と言う。

 欧州の診療指針は既に7センチまでのがんでも部分切除を勧めており「日本の指針も数年後には追随するだろう」と2人の見方は一致するが、篠原さんは「現状ではその施設が最も安全確実に実施できる手術法を選ぶべきだ」と指摘した上でこう話す。「まず主治医から納得いくまで説明を聞き、できれば腎がんに詳しい別の医師の意見も聞いた上で、じっくり考えて決めてほしい」

(共同通信 吉本明美)

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