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医療新世紀

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その息切れは年のせい? 見逃されるCOPD  治療遅れで寝たきりも

2018.2.20 11:00 吉本明美
 治療が遅れると寝たきりにつながる危険があり、患者も増えているのに、日本人の4人中3人が「知らない」と答える病気がある。慢性閉塞性肺疾患(COPD)。肺の働きが低下し体に酸素が十分行き渡らなくなるため、動くと息切れするのが最も重要な症状だ。早期治療で進行を抑えられるが、「息切れは年のせい」との思い込みから受診は遅れがち。専門医は「昨年まで普通にできていた動作にしんどさを感じたら、肺機能の検査を」と呼び掛けている。
 
 
 

 ▽治療は患者の5%

 COPDは、かつて肺気腫や慢性気管支炎と呼ばれていた肺疾患の総称。肺の中の細い気管支の多くが有害物質の影響で傷み、酸素と二酸化炭素の交換がしにくくなる。進行すると食事や着替えなどの日常生活も苦しくなる。
 
 最大の原因はたばこで、日本の患者の9割が喫煙経験者。発展途上国では大気汚染物質の関与も大きい。世界保健機関(WHO)は2030年には世界の死因の第3位になると推定している。

 国内には、01年に発表された全国規模の疫学調査を基に500万人を超す患者がいると推定された。高齢化でさらに増えるのは確実だが、厚生労働省の調査(14年)では患者数は約26万人。単純計算で患者の5%しか治療を受けていないことになり、多くは見逃されているとみられる。なぜか。日本医大呼吸ケアクリニック(東京)の木田厚瑞所長は「この病気の認知度が極めて低いためです」と言う。
 
木田厚瑞氏
    木田厚瑞氏

 ▽禁煙と薬で改善

 東京都葛飾区で中華料理店を営む森島武さん(72)も、昨年たまたま家族で受けた人間ドックで「一日も早く専門医へ」と言われるまで、COPDの名は知らなかった。

 喫煙歴約50年。朝から晩まで40年以上店を切り回してきて体力には自信があったが、胸いっぱいに息を吸い込んで一気に吐き出す「スパイロメーター検査」をすると、肺機能は同年代の健康な人の46%しかなかった。しばらく前から出前で息切れを感じ、就寝時のせきも悪化していたものの、医者嫌いもあって「年齢だろう」「小さい頃から喉が弱かったし」と別の理由を付けていた。

 木田さんの診察を受けたのは3カ月後。症状が進んで痩せていくのを見かねた妻の政子さん(69)が強引に連れ出した。

 最善策は禁煙と言われても「絶対やめない」とかたくなだったが、木田さんに「治療すればまだまだ働ける」と励まされ、禁煙を決意。補助薬を使ってたばこをやめ、COPDの吸入薬を始めると症状はみるみる改善、体重も4キロ近く増えた。森島さんは「病気とは思いもしませんでした。良くなったんだから働かざるを得ないよね」と笑う。

 ▽もしや、と注意を

 「家族の支援も大きかった森島さんは幸運な例。放置すると動くのがつらくなり、やがて寝たきりになる恐れが大きい。本人も周囲も早い段階で『もしやCOPDでは』と気付いてほしいのだが」と木田さん。

 この病気の啓発のために学会や製薬会社が設立したGOLD日本委員会は、09年から認知度を調査しているが、知っている人は25%程度にとどまる。
 
福地義之助氏
福地義之助氏

 同委員会を中心になって立ち上げた福地義之助・順天堂大名誉教授(呼吸器内科)は「息切れは年のせいという思い込みは医師の間にもあり、医師向けの啓発にも力を入れたい。肺機能は年齢とともにゆっくり低下はするが、昨年まで普通にできていたいつもの活動をしんどく感じたら異常のサイン。COPDの診断に必要なスパイロメーター検査を受けてほしい」と話している。

(共同通信 吉本明美)

 

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