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東京五輪、医療の備えは? 関連学会、提言づくり急ぐ  テロや熱中症も視野

2018.1.9 10:00
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 2020年の東京五輪・パラリンピックには、組織委員会推計で五輪に約780万人、パラリンピックに約230万人の観客を見込む。これだけ多数が集まると一般的な救護体制のほかに、事故やテロなどによる多数の患者発生も想定する必要がある。真夏の開催で、熱中症の発生も避けられない。どう準備したらいいのか。関連学会は学術連合体(コンソーシアム)をつくって検討を急いでいる。
2013年のボストン・マラソンのゴール付近で、爆発によるけが人を救助する医療関係者ら(AP=共同)
2013年のボストン・マラソンのゴール付近で、爆発によるけが人を救助する医療関係者ら(AP=共同)

 

 ▽将来につなげる

 関連学会がこの問題で取り組みを始めたのは2016年春。現在までに救急、外傷、熱傷、中毒などを専門とする学会と、東京都医師会が参加。17年度には、横田裕行・日本医大教授を班長に厚生労働省の研究班も発足した。

 検討項目はまず、12年ロンドン五輪など過去の大都市で開かれたスポーツ大会での態勢を検証し、その上で、会場周辺の患者受け入れ能力を見極める。さらに、事故や爆発、化学テロなどを想定し、患者が多数発生した場合の対応マニュアルを専門家、一般の医師向けに作成する予定だ。
 
 取りまとめに当たる森村尚登・東京大教授によると、コンソーシアムの目標は「五輪本番への準備を提言するだけでなく、その後の首都の災害・救急医療のあるべき姿を示すこと」だという。首都直下地震など首都圏での大災害の発生をにらみ「関係者の連携を強める機会とし、将来につなげたい」と語る。
 
森村尚登・東京大教授
  森村尚登・東京大教授

 ▽人手が課題

 17年10月には大阪市で開かれた日本救急医学会総会で、現段階での検討を踏まえたシンポジウムがあった。参加した多くの救急医が、緊急事態に対応する病院や医師、ボランティアらの確保の難しさを取り上げた。
 
 東京都医師会の関係者は、東京マラソンなどを例に、現状では一般の開業医の関心が低いことを挙げ、今後、研修などを強化、充実させる計画を報告した。05年のロンドン同時テロや13年のボストン・マラソンでの連続爆破テロの際の医療対応を調べた医師は、患者を一つの病院に集中させず、効率的に分散して搬送する用意をしておくことの重要性を指摘した。
 
 シンポジウム参加者からは、東京都内に救命救急センター自体が足りないことや、搬送に使う救急車の不足、会場周辺での日常医療への影響など、多くの懸念の声が上がった。
 
 コンソーシアムは、検討結果を基に最終的な提言をまとめ、組織委員会に提出して人手や経費の確保と態勢整備を促すことにしている。
 
 ▽付近に救護所を
 
 東京五輪は真夏の開催で、熱中症の発生も避けられない。組織委の暑さ対策検討委員を務める三宅康史・帝京大教授によると、熱中症対策は場所と人との組み合わせで考える必要があるという。
三宅康史・帝京大教授
  三宅康史・帝京大教授

 

 「観客が到着する最寄り駅やバス停から、チケットチェック、荷物検査、会場入り口まで、移動ルートの各段階で、外国人や高齢者、子ども、障害者、大会関係者らどんな人がどれだけいるかを想定して対応を決めたい」と話す。

 
 日よけや扇風機などを整備し、飲み水も配る。多くのボランティアも必要だ。マラソンや自転車ロードレースといった観客が沿道に広がる競技では、コンビニや自販機も活用したいという。
 
 「熱中症患者の多くは軽症なので、まずはできるだけ現場近くで処置したい」と三宅さん。会場付近に体育館のような場所を確保して、体を冷やし、必要な治療を受ける救護所とし、重症者のみを病院に搬送する形で対応するべきだとしている。
 
(共同通信 由藤庸二郎)

 

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