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車いす選びに関心持とう 合わないと体に悪影響  不満は我慢せず相談を

2017.12.26 0:38
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 持病の悪化や高齢のために要介護となって車いすを利用中だが、使い心地がいまひとつなのを我慢しているということはないだろうか。体に合わない車いすを使い続けると、新たな障害の原因になるなど体に悪影響がある。専門家は「車いすで生活が大きく変わることもある。ユーザー側も関心を持ち、不満は相談してほしい」と話している。
 
 ▽選ぶ意識が希薄
 
松尾清美さん
    松尾清美さん

 「歩けなくなっても生活は楽しめますよ」

 2017年11月。神奈川県平塚市で介護関係者らに講演した佐賀大医学部の松尾清美准教授(リハビリテーション工学)は、福祉機器の手助けで高齢者らの生活の幅がどれだけ広がるか、幾つもの実例を紹介した。強調した一つが車いすの大切さ。自身は大学生の時の交通事故で脊髄損傷となって以来、約40年の車いすユーザー。当事者の視点を生かした福祉機器の開発経験も豊富だ。

 「車いす選びは重要だと30年近く訴えているが、積極的に選ぼうという意識の高齢者はあまり多くないですね」と話す。
 
 車いすは介護保険でレンタルできる。厚生労働省の統計によると、17年4月までの1年間の貸与件数は約826万件。年々増加傾向にある。
 
 ▽変わった表情
 
 理学療法士として在宅でのリハビリ支援に長く携わる横浜市総合リハビリテーションセンターの佐藤史子・地域リハビリテーション部担当部長には、車いすの大切さを痛感した体験がある。
 
 市内の70代男性の家族から「ベッドで体を起こすと食事できるのに、車いすに乗るとすぐ眠ってしまう」と相談があった。自宅を訪ねると、車いすでは背中が丸まって顔が下向きになり、胸が圧迫されているようだった。顔が上がり、胸が開くように座れる車いすに替えたところ、食事ができただけでなく会話が増え、表情も豊かになった。
 
背もたれの張り具合を調節できる車いすも多い
背もたれの張り具合を調節できる車いすも多い

 「これは10年以上前の出来事で、今は背もたれの張り具合などを調節できる車いすが増え、クッションなども良くなりました。でも、快適ではなさそうな車いすに乗っている人に、家庭や施設で時折会います」

 例えば、デイサービスの送迎車の空間に合わせた小さめの車いすに、家でもずっと乗っている高齢者。「介護保険の利用額には上限があるので、例えば長時間乗る車いすは体にきちんと合った物を借り、短時間利用には手ごろな価格の物を自費で購入するなどの手もあります。そうした選択に必要な情報が本人や家族に届くようにすることが大切です」と佐藤さん。
 
 ▽医療職の関与を
 
 神奈川県総合リハビリテーションセンターで多くの車いすの開発に関わる沖川悦三主任研究員によると、車いすを決める際には、お尻の幅や肘の高さなどの寸法を合わせるほかに(1)自力で座った姿勢を保てるか(2)乗り移れるか(3)こげるか(4)快適に生活する上で他に何が必要か―を評価した上で、適切な製品を選ぶことが必要。福祉用具を貸与・販売する介護保険指定の事業所には福祉用具専門相談員がいるが「体の機能の評価には、できれば医療関係の専門職が関わるのが望ましい」(沖川さん)という。
 
 

 

 

 車いすに関心が深いクラーク病院(札幌市)リハビリテーションセンター長の桂律也医師は「車いすが必要な高齢者は座る筋力も衰えていることが多く、車いすが快適でないと寝ている時間が延び、寝たきりにつながりやすくなる。重要な問題だが医療者の関心は高いとは言えない」と話す。

 そこで、職種を超え車いすについて学ぶ場を提供しようと、沖川さんが会長を務める日本リハビリテーション工学協会は分科会「車いすSIG」で講習会などを開いている。詳細は同分科会ホームページで。
 
(共同通信 吉本明美)

 

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