糖尿病の足病変を防ごう リスク知って早期受診を 装具で負荷逃がす方法も

2022年04月05日
共同通信共同通信
 足のしびれや変形、傷の悪化などは糖尿病の代表的な合併症だが、放置すると壊疽(えそ)を起こしたりして下肢の切断にもつながる深刻な事態だ。一方で、早期に傷を治して適切な履物を使い、専門家による定期的なフットケアを受ければ、それ以上の悪化を防ぐこともできる。専門家は、リスクを自己診断できる採点表を公開し、リスクを自覚して早期に専門家を受診するよう呼び掛けている。
患者の足の状態を確認する義肢装具士(右)=東京都三鷹市の杏林大病院(同大提供)
患者の足の状態を確認する義肢装具士(右)=東京都三鷹市の杏林大病院(同大提供)

 

 ▽神経障害が契機
 大浦紀彦杏林大教授(創傷外科)によると、糖尿病が進むと最初に現れる合併症が「神経障害」だ。糖尿病性の腎症、目の網膜症と合わせて三大合併症として知られ、足病変はその神経障害を契機に引き起こされる。
 最初は足の感覚が鈍る、しびれるなどが症状だ。例えば異物を踏んでも気付かず、傷ができても分からないということが起きる。冷えを感じて暖房器具に足をかざし、熱さが分からずやけどをする例も珍しくない。
 また、神経障害によって筋肉がこわばったり萎縮したりすると、場合によっては指や関節が曲がったまま動かない、へこむはずの土踏まずが逆に盛り上がるなど、強い変形が起きる。すると特定の箇所に体重が掛かって「たこ」ができ、そこから傷や潰瘍が広がって悪化していく恐れがある。
 ▽まずは傷を治す
 治療ではまず、壊死(えし)した組織を除去し、傷を治すことを優先する。その後は、同じようなたこや傷が再発しないようにするが、そのためには、足の装具が必要なケースもあるという。
 大浦さんによると、装具の目的は、足の一部に集中していた荷重を分散し、逃がしてやること。杏林大では専門の義肢装具士が足の型取りをし、傷の箇所や症状に合わせて中敷き(インソール)や靴の形をした装具を患者ごとに調整している。
 再発を防ぐ定期通院とフットケアも重要だ。
 手先、足先の感覚が鈍った患者では、再発したたこを自分で削ったり、爪を切ったりして傷をつくる危険があり、専門家に定期的なケアをしてもらう方がいい。また、足の変形の状態によっては、装具を調整し直す必要も出てくるという。
 大浦さんは「悪化して下肢の切断を余儀なくされたケースでは死亡率が大きく上昇することが分かっており、定期通院でできるだけ長く良い状態を保つことが大切だ」と強調する。
 ▽採点表
 大浦さんが代表理事を務める専門家組織「アクト・アゲンスト・アンプテーション(下肢切断を減らすための行動、AAA)」では、特別な検査なしで、日常診療で糖尿病足病変の有無を推定する簡便な方法をまとめた資料をウェブサイトで公表し、糖尿病患者を日常的に診る臨床医に活用を呼び掛けている。
 
 
 

 

 資料の中には、下北沢病院(東京)の富田益臣糖尿病センター長(糖尿病内科)らの研究で明らかになった糖尿病患者の足病変のリスク因子に基づき、患者自身でもリスクを推定できるスコアシートが含まれている。
 「糖尿病歴が15年以上なら2点」「矯正視力が0・5以下なら6点」「腎機能の検査値である推算糸球体ろ過量(eGFR)が60以下なら2点」「独身や独居なら3点」「(安全靴や長靴などで靴擦れが起きやすい)肉体労働従事者は4点」という配点で、計7点以上ならリスクが高いと判定され、早期受診と検査、定期的なケアが推奨される。もちろん、糖尿病の治療と血糖管理は必須だ。
 日本フットケア・足病医学会のウェブサイトでは、患者が足の病気の専門家を探せるよう、全国各地の専門病院と、同学会が専門知識と技術を有すると認定した「フットケア指導士」の一覧表も公表している。(共同=由藤庸二郎)