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よく話し合い治療を決める 患者の声反映し指針改訂 選択肢増えた関節リウマチ

2021.10.23 0:00
 関節リウマチに対する新薬が次々に実用化され、症状の悪化を抑えるだけでなく、より良い暮らしを取り戻すことも可能になった。一方で、患者にとっては選択肢が多く、自分にどのような薬がふさわしいのか判断することが難しい。今年7年ぶりに改訂された関節リウマチ診療ガイドラインは「患者と医師が話し合い、共同で治療を決める」という考え方に沿い、治療の決定に必要な根拠が解説されている。患者団体は、ガイドラインの活用でこの考え方が広まり、治療格差が解消することを期待している。
 ▽薬剤の進歩
 関節リウマチは関節に炎症が起きて腫れや痛みが生じ、放置すると関節が破壊され、変形する病気。全国で推定約80万人の患者がいるとされる。
 
 

 

 ガイドライン作成に当たった針谷正祥東京女子医大教授(膠原病リウマチ内科)によると、免疫抑制作用がある抗リウマチ薬「メトトレキサート」を中心に、高い効果が望める生物学的製剤やJAK阻害薬などが次々に実用化。一般医薬品における特許切れ後の後続品「ジェネリック」に相当する生物学的製剤の後続品「バイオシミラー」も相次いで登場して、患者の経済的な負担も軽減されつつある。
 針谷さんは「適切な治療によって症状が落ち着いて病状が進まない『臨床的寛解』や、寛解までには至らなくとも症状が落ち着いている『低疾患活動性』が多くの患者で期待できるようになった。病気自体を追い出すことはできないが、良い状態を長く維持することが可能だ」と話す。
 ▽アルゴリズム
 ガイドラインではこうした薬剤の組み合わせと投与のタイミングについて治療の進め方(アルゴリズム)を提示。薬物治療はフェーズ1からフェーズ3までを設定し、「6カ月以内に治療目標である『臨床的寛解もしくは低疾患活動性』が達成できない場合に、次のフェーズに進む」のを原則とした。
 また、薬物治療以外の外科手術やリハビリテーションなどの治療でもアルゴリズムを作成。薬物治療の効果と併せ、患者の生活の質を高める方策をまとめている。
 前回2014年のガイドラインから作成作業に参加している「日本リウマチ友の会」(会員約1万3千人)の長谷川三枝子会長は「患者の声がより反映されている。治療選択の根拠となる論文の評価なども分かりやすくなった」と評価する。
 
 

 

 ▽医療に格差も
 新ガイドラインには、友の会が会員にアンケートした結果も載った。医療への満足度のほか、治療を受けた薬や手術の内容別にその実態がまとめられている。
 アンケートによると、医師と話し合って納得して治療を受けた人ほど治療満足度が高い傾向があった半面、話し合いができた人の割合は前回調査よりも減少。医療格差が拡大している恐れがあることも示された。
 長谷川さんはこうした現状に、新ガイドラインの活用による格差の解消と、チーム医療の普及拡充を訴える。
 「専門医が少なく、診察が受けにくい地域でどうするか。友の会にもそうした相談が多い」。長谷川さんは、患者が専門医と話し合って決めた治療の目標、治療方針を、普段かかりつけの医師にも共有してもらう連携体制が望ましいとした。
 新しい薬には高額のものが多く、経済的な負担になる。長谷川さんは「医療チームで患者のこうした悩みも聞いて対応してほしい」とも話した。
 日本リウマチ学会は学会ウェブサイトに、リウマチ専門医・指導医を都道府県やキーワードで検索できるページを設けている。(共同=由藤庸二郎)

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