結核抑制達成、数年遅れか 目立つ高齢、都市の患者
2018.2.20 11:00
1年間に新たに結核と診断される患者を、2020年までに「低まん延国」とされる10万人当たり10人以下にするとの国の目標の達成が、数年遅れになりそうだ。厚生労働省が病原微生物検出情報17年12月号で明らかにした。高齢者、都市部での患者の割合増加が目立っている。

16年の新規届け出患者は全国で1万7625人、10万人当たりでは13・9人だった。前年比で減ったものの、近年は年間4~6%減で推移しており、このペースだと20年までの目標達成は難しいという。
新規患者の男女比は6対4。35歳以上で男性の割合が増え、40歳以上80歳未満では男性が女性の約2倍だった。高齢化も目立ち、65歳以上の割合は1996年の43%、2006年の55%に対して16年は67%と、3分の2が高齢者になった。
東京都市部と政令指定都市では、日本全体の人口比では29%だが、結核の新規患者では35%、64歳以下では41%を占めている。
世界保健機関(WHO)は患者が治癒したり一定の治療を終えたりした「治療成功率」の目標を85%に設定しているが、日本で15年から16年にかけて治療を成功した患者の割合は53%。これは、新規患者の3分の1以上が80歳以上で、治癒や治療完了前に死亡する例が多かったためとみられる。50歳未満での治療成功率は70%だった。
新規患者のうち外国生まれの人は1338人で8%。06年の920人、4%から大きく増加した。特に20代では59%を外国生まれが占めた。主に使われる2種類の抗結核薬にいずれも耐性があった多剤耐性結核患者は全国で49人。このうち15人が外国生まれだった。
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