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自宅全壊で認知機能低下 大震災被災地の高齢者

2022.1.25 0:00
 2011年の東日本大震災で自宅が全壊した高齢者は認知機能低下のリスクが大きい―。そんな研究結果を米ハーバード大などのチームがまとめ、米科学誌に発表した。
 宮城県岩沼市で続く老年医学の大規模研究のデータを活用し、震災前の2010年と、震災後の13年、16年に得られた65歳以上の住民約3千人について認知機能を把握。被災状況や健康の状態は質問紙で尋ねた。
 
 

 

 認知機能は介護保険の評価方法を利用して「症状なし(0点)」から「専門的な治療が必要(7点)」までの8段階に点数化し、自宅が全壊した人としなかった人で比べたところ、全壊した人の方が認知機能の低下が大きかった。具体的には、全壊した人は13年時点では平均0・1点、16年時点では同0・14点、全壊を免れた人よりも点数が悪化していた。
 一方、家族や親しい人と死別を経験したかどうかは、認知機能の低下との関連が見られなかった。
 さらに、震災前の家族構成や教育歴、健康状態など約50項目の背景情報を詳しく分析すると、より高齢や独居の人、無職であったり健康状態が良くなかったりする人で、認知機能が悪化しやすいことが分かった。
 チームの芝孝一郎ハーバード大研究員は「独り暮らしの人などが家を失うと社会的に孤立しやすく、健康状態の悪化に拍車が掛かる恐れがある」と話す。
 そうした人は被災時に仮設住宅に入る事例が多いことから、芝さんは「住民が交流できる場を仮設住宅に設けるなどして、孤立を防ぐことが重要だ」と指摘している。

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