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糖尿病治療は自分が主役 食事と運動、基礎を学ぶ 医師が勧める教育入院

2020.3.13 14:37
 2型糖尿病と診断された人は生活を振り返って、食べ過ぎがいけないのか、運動不足なのかと考え込み、具体的にどうすればいいのか戸惑う。そんな患者に医師が勧めるのが「教育入院」だ。検査で糖尿病の状態とタイプを見極めてその後の治療方針を決めると同時に、生活の問題点を洗い出し、患者自身が治療の主役となって改善に取り組むきっかけをつくる。順天堂大順天堂医院(東京)で、1週間のプログラムを取材した。
 ▽合併症を知る
 「ちゃんとした食生活や適度な運動が糖尿病治療に必要なことは知られているが、何となく知っているだけでは不十分。きちんと学ぶと、治そうという意識も高まる」。綿田裕孝順天堂大教授(糖尿病・内分泌内科)は、教育入院の意義をそう説明する。
 順天堂医院の教育入院は6泊7日。糖尿病と診断され、測定前1~2カ月の平均血糖値を示す「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」が高い人など、血糖管理が悪い人には特に勧めている。
 「何とかしたい、という意欲が大事だ」と、教育入院担当の佐藤博亮先任准教授(同)。
糖尿病教育入院での看護師の講義。患者は療養生活の課題をルートマップで学ぶ=東京都文京区の順天堂大順天堂医院
糖尿病教育入院での看護師の講義。患者は療養生活の課題をルートマップで学ぶ=東京都文京区の順天堂大順天堂医院

 


 初日、2日目は検査と診察だ。胸部エックス線検査や頸(けい)動脈の超音波検査、負荷心電図で動脈硬化などを調べるほか、三大合併症といわれる目の網膜症、しびれなどの神経障害、腎臓病などの有無についても検査する。血糖を抑えるホルモン「インスリン」がどれだけ分泌されているかも、治療方針の決定に重要な情報になる。
 ▽チーム医療
 「自覚症状は?」「ありません」「息切れが…」「だるさが…」
 2日目の集団講義。医師の問いに、患者らが答える。医師は「血糖値がとても高ければ症状が出るが、糖尿病は無症状で自覚できないことが怖い」と切り出し、糖尿病で大小の血管が傷み、放っておくと失明や人工透析のリスクがあることを順に説明していく。患者らは自分の体調で気掛かりな点を口々に質問した。
 検査結果で運動に支障がない人は4日目から病院内の運動施設に集まる。トレーニングマシンが並びスポーツジムのようだ。ストレッチからウオーキング、自転車こぎ…。健康運動指導士という有資格者と、体調に合わせて無理なく体を動かす方法を探っていく。
 5日目には医師や看護師、管理栄養士、薬剤師らのチームが患者ごとの対処方針を話し合う症例検討会が開かれた。
 インスリンが不足なのか、“効き”が悪いのか。検査や問診で得た情報から、病気のタイプや合併症を見極め「この患者は運動を勧める」「この患者はまず食生活」…。生活改善のポイントについての意見が相次ぐ。
 同日の看護師の講義では、療養生活の歩みを示した“ルートマップ”を前に、今後直面する血糖コントロールや合併症の課題をどう克服するか、対処法を書いたカードを使って学んでいった。
 
 

 

 ▽生活見つめ直す

 管理栄養士の栄養指導では、やはり食事が気掛かりなのか、質問が飛び交う。ただ、病院食の印象を聞かれた患者は口をそろえ「こんなに食べてもいいのか」。栄養士はすかさず「三食きちんと食べてこそ、血糖値が安定する」と強調した。
 「目標体重から必要エネルギーを知り、それを三食に均等に」「和定食を基本に、菓子やジュースは控える」「食材の組み合わせを意識する」。食事改善のこつを科学的根拠とともに教わる。
 教育入院で提供される情報は盛りだくさんで、とても覚えきれそうにない。だが、どんな不安、疑問にも専門家が即座に答えてくれる環境で自分の生活を見つめ直す貴重な機会になると感じた。(共同=由藤庸二郎)

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