患者の様子を映像、音声で 救急現場で実証実験

2022年08月23日
共同通信共同通信
 救急隊員が搬送中の患者の様子を映像と音声で医療機関に送信し、医師が重症度や必要な処置についての情報を得る―。順天堂大静岡病院(静岡県伊豆の国市)は今年3月、地元の駿東伊豆消防本部と共同でそんなシステムの実証実験を行い、実用化に向けて有用性を検討している。
映像と音声を共有できるスマートグラス(点線内)を着けた救急隊員(石川浩平順天堂大准教授提供)
映像と音声を共有できるスマートグラス(点線内)を着けた救急隊員(石川浩平順天堂大准教授提供)

 

 電話では伝わらない患者の顔色や切迫感、発語などが捉えられる上、救急車内の心電図モニターの波形なども映しだせる。医療機関側が患者の状態に応じて到着前から手術や輸血、薬剤などの準備を始められる利点があり、救命率や重症化予防、社会復帰率の向上が期待できるとしている。
 使用するのは小型カメラとマイクが一体になった眼鏡型端末「スマートグラス」。AVR Japan(東京、立石雅之社長)がシステム化に協力した。
 端末を頭部に装着すると、救急隊員の視線からの映像と音声が医療機関に送られ、医師と即時的に共有できる。実験では同院への搬送が決まった後、患者と家族に同意を得てから起動した。
 期間中には、頭部外傷の患者で速やかな止血と縫合手術が必要な傷だと判断できたため、病院側で到着前に準備を整えた事例があったという。
 実証実験の中で得られた課題を検証し、装置自体も改良を施した上で、同消防本部の救急車に随時配備。本格的な運用を目指したいとしている。
 同院の石川浩平救急診療科医局長(准教授)は「多発性外傷や脳卒中、心筋梗塞など一分一秒を争う患者で特に有効だ。救急隊員が医師とのやりとりで直ちに必要な救命行為を行えるため、現場滞在時間の短縮も期待できる」と話した。