保健師数が感染者数を左右 新型コロナで重要性判明

2022年08月09日
共同通信共同通信
 地域で活動する保健師の人口当たりの人数が多いほど、新型コロナウイルス感染症の新規感染者の割合=罹患(りかん)率=が低かったとする研究結果を、奈良県立医大の県民健康増進支援センターが国際的な環境保健・予防医学の専門誌に発表した。
 
 

 

 保健師が担った積極的疫学調査(接触者追跡)などの業務の重要性を示し、普段から住民との関係を深めることが、感染予防政策への信頼、協力につながった可能性があると指摘している。
 同センターの冨岡公子特任准教授らは、厚生労働省の統計「衛生行政報告例」の2018年分に示された人口10万人当たりの保健師の数を参照し、多い順に47都道府県を5グループに区分。さらに、各都道府県の20年1月~21年9月末までの間で10万人当たりの新型コロナの累積新規感染者数を基に、保健師数と罹患率との関係を調べた。
 その結果、保健師数が最多のグループに比べ、最少のグループは罹患率が4・3倍。「経済的要因」「人口当たり医師数」「人口密度」「高齢化率」など罹患率に影響することが分かっている要因を排除して分析し直しても1・7~3・9倍とはっきりした差があり、保健師の数が独立して感染者の数を左右することが明らかになった。
 アルファ株やデルタ株などウイルスの変異が影響したかどうかも検討したが、変異株の間では差がなかった。
 保健師の数には民間で働く人も含むものの、約4分の3はコロナ対策で多忙を極めた保健所か行政に所属している。冨岡さんは「保健師が新型コロナのような新興感染症のパンデミックにとって重要な役割を果たすことを認識して体制を整える必要がある」と指摘した。
 専門誌はENVIRONMENTAL HEALTH AND PREVENTIVE MEDICINE5月3日オンライン版