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ニキビは治しきるのが大切 抗菌薬以外の薬が実用化 菌の耐性化の懸念も

2022.3.22 0:00
 顔にできたニキビが気になってごしごし洗う、手でつまんでみる…。若い人の多くが経験することだが、ニキビの悪化を見過ごすと長引いたりニキビ痕が残ったりする恐れがある。早い段階で使う薬剤が相次いで実用化されると同時に治療戦略も定まり、ニキビをきれいに治すことが可能になってきた。専門家は「目立たなくなった後もしっかりと治しきってほしい」と話している。
 ▽毛穴の詰まり
 医療法人明和病院(兵庫県西宮市)は「にきびセンター」を開設している。センター長を務める黒川一郎皮膚科部長によると、ニキビは「尋常性ざ瘡(そう)」という皮膚の病気。発病のきっかけは「毛穴の詰まり」だ。原因となるアクネ菌は誰の皮膚にもいる常在菌で、普段は悪さをしない。
 「人の皮膚の細胞では角化という現象が起きて、皮膚に角質の層ができる。古い角質がきれいにはがれずに毛穴をふさぐと、皮脂もたまり、菌の増殖や炎症でニキビができていく」という。
 
 

 

 毛穴がふさがった状態が「面皰(めんぽう)」だ。ごく小さい微小面皰は目に見えないが、次第に目立つ「白ニキビ」や、詰まりが黒く見える「黒ニキビ」になる。さらに炎症が起きると腫れて「赤ニキビ」、そこが化膿(かのう)すれば「黄ニキビ」が増えていく。
 ▽初期治療に道
 黒川さんによると、ニキビ治療は近年、大きく進歩した。2種類の薬の実用化が寄与し、初期の治療に道が開けたという。
 「従来は赤ニキビになる炎症期に抗菌薬を使うのが主流だったが、2008年に登場した外用薬のアダパレンは早いうちから使え、角化細胞の分化を正常化して毛穴の詰まりを防ぐ」
 もう一つの外用薬「過酸化ベンゾイル(BPO)」も、アクネ菌の増殖を阻害すると同時に、ふさがった毛穴を改善する。抗菌薬と組み合わせる薬の選択肢が増えたことで、治療が多様化した。
 黒川さんが作成委員として参加した「尋常性ざ瘡治療ガイドライン」では、初期はこの2剤で治療し、その後の「急性炎症期」には、顔半分に6個以上の赤ニキビができた中等症の段階で抗菌薬を使い、集中的に菌の増殖と炎症を抑えることが推奨されている。
ニキビを最後まで治す必要性を語る黒川一郎・明和病院皮膚科部長=兵庫県西宮市
ニキビを最後まで治す必要性を語る黒川一郎・明和病院皮膚科部長=兵庫県西宮市

 


 「その後も重要です」と黒川さんは強調した。赤、黄のニキビが消えただけで治療をやめてはいけないというのだ。
 「炎症が治まっても毛穴の3割が詰まっているとの研究報告がある。再びニキビができて症状がぶり返す『再燃』の恐れがあり、アダパレンやBPOによる『維持療法』で防ぎたい」と話した。
 ▽高まる耐性率
 懸念されるのは、ニキビの原因菌でも、抗菌薬が効かない耐性菌ができ始めていることだ。
 東京薬科大と虎の門病院が、ニキビ患者から検出したアクネ菌で調べた共同研究によると、一般的な抗菌薬であるクリンダマイシンへの耐性率は13年の38%から18年は57%に、クラリスロマイシンへの耐性率は同じく47%から61%に高まった。研究グループは他の常在菌の耐性化や皮膚科以外の治療にも影響しかねないと問題提起した。
 黒川さんによると、ニキビではほかの抗菌薬も有効なため、直ちに患者の治療で問題になることはないが、耐性化すれば将来の治療の選択肢が狭まる恐れがあると指摘する。ニキビへの抗菌薬の使用は最長3カ月が原則だとガイドラインにも明記されている。
 薬剤耐性(AMR)の問題に取り組む国立国際医療研究センター病院のAMR臨床リファレンスセンターは「ニキビという身近な病気でも薬剤耐性の問題があることが明らかになった。診療科を問わず、抗菌薬の適正使用が求められる」とコメントしている。(共同=由藤庸二郎)

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