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いつも以上に体調に注意を 人工透析と新型コロナ 施設は感染防御を強化

2020.6.30 0:00
 新型コロナウイルス感染症は、持病のある人では重症化しやすい。できるだけ外出は控えた方がいいが、慢性腎臓病で透析を受けている患者は、週3回の通院を欠かすことができない。各施設は感染防御を強化しているが、患者はどんな点に気を付けたらいいのか。専門家は、毎日検温して平熱を把握し、体調変動にいつも以上に注意を払うよう促している。
 ▽重症化リスク
 東京都済生会中央病院の竜崎崇和副院長(腎臓内科)によると、新型コロナウイルス感染症は持病のある人の重症化リスクが高いと報告されているが、感染しやすさにおいて、慢性腎臓病とほかの疾患との違いは明らかではない。日本透析医学会と日本透析医会、日本腎臓学会の合同委員会のまとめでは、5月22日段階で透析患者における累積の感染者数は計96人。
順番待ちをする間、患者同士が距離を取るよう足元に線を引いた東京都済生会中央病院の透析施設入り口=東京都港区(同病院提供)
順番待ちをする間、患者同士が距離を取るよう足元に線を引いた東京都済生会中央病院の透析施設入り口=東京都港区(同病院提供)

 


 重症化しやすいのは、人工透析を受けている人に高齢者が多いことも関係している。合同委のまとめでは年齢が分かっている92人のうち、70歳以上が51人に達した。現在、人工透析を始める年齢は約70歳で、65歳以上の高齢者が3分の2だ。糖尿病から人工透析が必要になった人も約4割を占める。
 竜崎さんによると、こうした人たちは、腎臓病そのものによって免疫機能が低下していたり、動脈硬化を併発していたりする。また、腎臓からの尿の排出が滞るので、体全体の体液が多く、肺炎を起こしたときに肺に水がたまり、酸素の取り込みがいっそう悪くなる恐れがある。そうしたことが重症化と関係しているとみられるという。
 ▽2月から取り組み
 人工透析は基本的に週に3回、1回約4時間と滞在時間が長い。ただ、透析施設では新型コロナ以前から標準的な感染制御がなされていて、人工透析施設内での感染は散発的には起こっているものの、いずれも大人数ではないという。
 透析施設を通じた拡大を防ぐために、2学会と医会は連携してウェブサイトでガイドラインを明らかにしている。日本透析医会では2月には感染対策の実務について会員向けに会告を出し、感染防止の徹底を図った。
透析施設の更衣室に張った感染防止の注意書きを指す東京都済生会中央病院の竜崎崇和副院長=2020年5月、東京都港区(同病院提供)
透析施設の更衣室に張った感染防止の注意書きを指す東京都済生会中央病院の竜崎崇和副院長=2020年5月、東京都港区(同病院提供)

 

 患者には、熱などの症状がある場合は事前に透析病院に電話連絡してもらう。病院側では他の患者と空間、時間を分け、個室を設けるなどで患者同士の接触を避ける。同時に、防護具を装着するなどスタッフの感染防御を徹底するなどの院内感染防止対策を取っている。
 ▽毎日の検温を
 患者はどう気を付けたらいいのか。
 透析の前後に手洗いをする、透析中にマスクをするなどの、既に知られている項目に加え、竜崎さんが強調するのは「自分の体調の把握」だ。新型コロナウイルス感染症は、自覚症状のないまま病状が進むことが知られているからだ。
 「“たぶん大丈夫”という感覚では不十分。体温を毎日測り、平熱の範囲を知ること。そうすれば、熱が出たときに気付きやすくなる」と竜崎さん。平時から透析患者に求められる水分と塩分、体重の管理にも当面は、よりしっかり取り組むことも勧めている。
 近畿地方の透析病院の代表者は「院内感染対策は十分に取っており、患者も理解して落ち着いている」と話す。この病院では、休憩室の雑誌や新聞を撤去し、更衣室もできるだけ使わないよう患者に要請。病棟の約半分を発熱などの症状がある感染疑いの患者向けに設定して、その他の患者との接触を避けている。
 竜崎さんは「同じ透析施設を長年利用している人は顔なじみになり、透析の前後に、更衣室や控室で話をしたりする機会が多い。そうしたことは、当面控えた方がいい」と指摘している。(共同=由藤庸二郎)

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